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生産性アップにもつながる!男性育休推進の企業メリットについて解説 | Marbera

中村 あや

中村 あや

2022/12/16

改正育児・介護休業法の法改正に伴う、「男性育休取得」推進。
「話を聞くけど実際には・・・。」
「うちは人不足で全く現実的でないね・・・。」
中小企業や地方の企業ではまだまだそのような声が多いのではないでしょうか?

しかし、それらの多くは現場の勝手な思い込みや想像によるものも多くあります。

経営層や人事担当者がうまく社内にプレゼンできていない、現場からの反発や疑問の声を説得できないということが多いのではないでしょうか。

「男性育休」は、取得した本人とその家族にとってだけのメリットではないのか?と思われがちですが、実は企業経営、自社マーケティングなどさまざまなメリットがあります。さらには社会的には働き方改革や女性活躍を推進するためのポイントになるのです。

これまで女性活躍にフォーカスされがちだった人材採用や離職防止についての課題も、男性育休を考えることで同時に理解が深まることもあります。
本日はそんな「男性の育休取得の企業メリット」について考えてみたいと思います。

■なぜ、男性が育児休暇を取ることで生産性が上がるのか?


働き方改革
、何から手をつけて良いのかわからない・・・。
とりあえず残業削減から始めてみたが、生産性はあがらず大して風土が変わらない。
そんな中小企業の事業主の方も多いのではないでしょうか?
昨今のコロナによる経営状況悪化により、「今は営業力に力を入れないといけないのに育休?何を言っているのだ、そんな余裕などないよ」そんな企業は多数あります。
実際、その発想しかない現場の状況もあるでしょう。
しかし、つけ刃での営業支援、マーケティングツールの導入・・・。
それで社員のモチベーションは上がっているでしょうか?職場、業務が楽しいとなっていますか?
一見、改革できそうな気がしますが、現実的に社員の仕事への意識改革や家庭生活も含めた働き方の価値観が大きく変わることはなかなかありません。
コンサル費用をかけ、システム導入にも投資したのに・・・。「社員はやる気がない。なぜ動かないのだ?」
そんな経営者さまはいらっしゃいませんか?

■男性が家事・育児参加することで生産性が向上する

 

一般的に、女性と男性では「女性脳」と「男性脳」の違いがあります。
男性は物事を結論で考える傾向にあり、同時に2つ以上のことを考えるのが苦手な方が比較的多いかもしれません。しかし、デジタル時代のワークスタイルには同時進行でさまざまなプロジェクトやタスクがオンラインとオフラインで行ったりきたりしながら進行し、限られた時間内で完結するなどということがあります。
つまり、「パラレル思考」がより求められるのです。

昨今、子育て中の女性たちが「ママ起業」などフリーランスでビジネスにチャレンジしていたり、家庭と仕事を両立しながら器用に時短リモートワークを叶えています。女性にはプロセスを重視する「女性脳」があり、家事や育児経験があることでさらに同時進行でディレクションする段取り力が培われているため、テレワークもスムーズに進むことがあります。実際、筆者がスタートアップベンチャーやNPO団体のオールリモート組織で業務推進する際、チャットによる業務がスムーズでスピードが速かったのは圧倒的に主婦のチームでした。
しかもデジタルに元々慣れていたタイプの方々ではなかったにもかかわらず、チャットでどんどんオープンに話せるのです。普段から横の繋がりを大事にし、LINEなどで活発にスタンプを使ったり、長めの文章でコミュニケーションする女性だからこそ、会っていなくてもチャットワークがうまくできるのではないかと推察しました。これが男性だと「結論、以上!」というような簡潔な報告のみで、「やっぱり会って話さないとね・・・」になりがちなのです。

男性もIT系職種などではテレワークが長く慣れている方もいますが、コロナ渦中、昔ながらの営業スタイルに慣れている営業現場やラフに社内と交流することのない管理職男性が初めてテレワークを経験し、ストレスを感じてうまくいかないなどの声を多く聞きました。
働き方改革も単に勤務形態の選択肢を増やす、だけではスムーズにいかないことも多いのです。

強制的に指示される、言われた通り動くといった労働的発想でなく、「何が課題なのか詳しくヒアリング」「自ら考えて試してみる」「周りにヘルプする」「限られた工数で工夫する」という意識は、家事や料理、子供との時間で様々体験できるかもしれません。

つまり、男性も家事や育児に参加することで、マルチタスク発想が身につき、「泣き止まない・・・どうしよう!」など予想外の状況を乗り越えることでコミュニケーション力は向上するはずです。会社では研修しきれないよき研修ができるというわけです。それらは長期的な視点で見ると企業にとってメリットになります。臨機応変さが身につき、ハラスメント予防に繋がり、御社のイノベーションにもつながるかもしれません。

■業務の属人化防止、チーム労働につなげる

子育て世代は20代後半〜40代位の社員が多く、一般的には「働き盛り」と言えます。
そのような戦力男性社員が「育児休暇」を取得するとなると途端に慌てる経営者も多いのではないでしょうか。
しかし、長期的に「家庭と仕事を両立して幸せな状態」で働くには、職場のチーム間での助け合いがとても大切です。業務は属人的なものではなく、複数のメンバーの誰かがスムーズに同じことを引き継げるようにする、抱えている課題やKPIが明確になっていることが重要です。

男性育休取得の促進は、自社の業務内容の見直し、クライアントサービスなどの見直しのきっかけになったという事業主もあります。

例えば、一人の男性営業マンだけで長年担当してきたクライアント業務。
「その人にしか担当できないだろう、という思い込みがあったが、新入社員女性がクライアント訪問してみたらこれまで気づけなかった課題に気づけた」「別の担当者に変更したら違う視点での課題解決につながった」などがあります。

育休当事者にとっては、「休んでいる間に自分の仕事がなくなってしまうのではないか・・・」などと不安がある人もいらっしゃるかもしれません。しかし、当事者にとっても業務を引き継ぐ中でタスクや課題の整理や振り返りになり、他に頼れるメンバーが社内にいるか検討する機会にもなり、これまで属人化して残業や休日出勤になっていたという問題に気づけることもあるのです。引き継ぐ人にとっては、今まで担当したことのない業務やクライアントで成長する機会となる可能性もあります。担当替え、配置換えというのは、その都度、新しい学びや振り返りにつながると捉えてみることです。

■心理的安全性につながる

男性が育児休暇取得するということによって自社の制度や社員の家庭の状況、育児についての理解がより広まります。管理職や経営層だけでなく、全社的にそれらをシェアすることにより、協力を仰ぐことができるかもしれません。
職場の「心理的安全性」を高めるためには、業務の相談だけではなく、上司やチームのメンバー間で不妊治療の通院時間の確保の問題や子供の健康トラブル、親の介護など個々人によって異なるプライベートの問題も気軽に相談できる雰囲気づくりが大切です。

社員の幸せ、「社員が長期的に社会生活も家庭生活も充実しながら幸せに働き続けられること」を考えていくこと。会社が自分にとって安心安全な場所と思えれば、困難があっても帰りたいと思う場所になるのではないでしょうか。

■社員のロイヤリティ向上

男性の育児休業取得を推進した企業とそうでない企業とで従業員の離職率やエンゲージメントを取った調査では、会社への愛着が増したと回答した社員が多くなっています。育児休暇取得は労働の生産性向上につながると書きましたが営業利益率にもつながっているのです。これは素晴らしいことですね。

■社員の定着・企業CSR向上につながる

①優秀な新入社員の獲得

採用活動ではどうでしょうか?
就活生の意識調査によると、就職先に選ぶ会社で育児休業の取得、推進制度という情報がある企業とそうでない企業では取得率が高い企業を選ぶと答える学生が多くなっています。

②自律型のクリエイティブ人材育成につながる

昨今、さまざまな社会課題や経済的な低迷によるビジネスの課題は一方的な側面だけで物事を考えているだけでは解決しないことも。I OT時代に臨機応変にシフトし、柔軟に物事をとらえ、ビジネス創出、開発できるアイデアイノベーションがどの業界にも求められています。そんな中で必要なのが自律型で創造性ある人材です。
本業以外の副業をする、ボランティア活動をするなどの社外活動も異質との出会いや経験につながりますが、家事や子育てなどの経験が視野を広げることも多いのです。

③ウエルビーイング経営企業と認知される

昨今、投資家や株主からの企業評価も財務面だけではなく従業員一人一人の幸せ、ウエルビーイングを重視した経営面が評価に値することが叫ばれています。
(※ウエルビーイングとは社会的・環境的・身体的に幸福感を感じる状態のことを言います)
会社は財務状況だけではなくESG視点の評価が重視されるのです。
(※ESG投資とは、ESG投資とは、企業環境(Environment)、社会(Social)への取り組み、ガバナンス(Governance)など、「業績」や「財務状況」ではない側面を考慮して投資先を選ぶことを指します。)
内閣府の調査によると企業への投資全体のうちESG投資の占める割合が約40%、その投資残高について1兆円以上と回答した企業は30%にも上りそれらが大きく意味をなしていることがわかります。

いかがでしたか?

「男性育休など自社には関係がない。義務化などとんでもない・・・。」その様に思っていた経営者の方、「人事部からいきなり言われて戸惑っている・・・。」その様に感じている現場担当者様もいらしたのではないでしょうか。
「なぜ、やるのか?」の部分、そこがうまく説明できないと思われている人事のご担当者様も、上記のようなメリットをぜひ参考にされてみてください。
なお、それでも社内を説得することが難しい、なかなか現場の理解が得られ難いということがありましたら外部のプロに相談するのも手だと思います。

エンパワテックソサエティーでは「男性育休取得」に関するセミナー、企業様向けウエルビーイング研修なども行なっております。ぜひ、お気軽にご相談ください。

中村 あや

中村 あや

日本不妊カウンセリング学会・学会認定不妊カウンセラー 広告やメディアに携わる会社員時代に女性の健康やキャリアプランニングに強く関心を持つ。退職後、生殖医療を0から学び、生殖医療科・産科・小児科勤務。不妊当事者支援npo・医療ヘルスケア領域のスタートアップにて広報などに従事。男女の性の悩み・妊活・不妊・生活習慣やダイエットなどオンライン相談実績多。どんな選択肢を選んでも”自分らしく輝ける“あなたをサポートいたします。

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