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毛生え薬は男性不妊の原因になる?子供がほしい男性が注意すべきポイント

2021/08/08

Marbera運営事務局

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薄毛は男性にとっての大きな悩み

年齢とともに毛髪の量が少なくなってきたり、髪の毛の質が変わりなんだか以前より薄く見えたりという悩みは、男性特有の悩みです。もちろん中にはもともと毛量が少なく、加齢の影響に関わらず長期的に悩みを抱えているという人もいます。

そして、髪の毛が薄くなる、少なくなるということは男性にとって外見的な大きな変化となり、おしゃれが楽しめなくなる、自分に自信が持てなくなるといったコンプレックスにつながることもたくさんあります。

植毛やカツラなどもありますが、薄毛や髪の毛の減少がコンプレックスになってしまっている人にとっては、髪の毛が増えたように見せるということより、実際に髪の毛が増えるという根本的な対策でなければなかなかコンプレックスの解消にはなりません。

薄毛や髪の毛の減少の対策としては、昔から様々な民間療法が存在します。また、増毛を謳い文句としているグッズやサプリメントも少なくありません。しかし最近では、AGA(男性型脱毛症)治療を実施している医療機関が増え、より信頼できる対策が見つかったことで治療を受けたり検討したりという男性も増えました。

一方、晩婚化が進み、そもそも男性の平均初婚年齢が30歳を超えていることや、結婚していてもある程度キャリアや経済面が安定してから子供を持つことを検討する人も多いという背景などもあり、不妊治療を受けている夫婦の男性側の年齢は30代、40代が中心です。男性が薄毛を気にし始める年齢の平均が30代中盤以降なため、不妊治療中または不妊治療を検討している夫婦と合致することになります。

子供がほしいと考えている男性や、そのパートナーである女性には、毛生え薬による男性不妊への影響を懸念している人もいますよね。この記事では、男性の毛髪対策の中でも毛生え薬と男性不妊の関係をご説明します。

不妊治療の病院では毛生え薬の中止を促すことがある

2021年8月の段階では、不妊治療は保険適用外の診療にあたり、明確なガイドラインなどもなく治療法や診療内容は各病院に委ねられています。そのため、病院によって診療方針が大きく異るという実情があります。

治療開始前の段階で様々なことを調べても、いざ治療を開始するとやはりわからないことがたくさんでてくるもの。さらなる情報収集をしようと治療当事者のブログやSNSなどを見てみると、自分が受けたことのない検査をしたり、医師からの指示を受けたりしている人に驚かされることも珍しくありません。たとえばそもそも夫婦揃っての初期検査を受けないとたとえタイミング法であっても診療自体が受けられないという病院もあれば、男性側の検査などをしなくても一定の治療や指導なら行ってくれるという病院もあります。

そのため、病院や医師によって異なるという前提ではありますが、問診や診療において男性側に毛生え薬の使用を確認する病院があります。そして、使用している薬によっては使用の中止が促されるケースもあるため、男性が不妊に関する検査や治療を受けるのであれば、使用している毛生え薬の種類を伝えられるようにしておきましょう。

毛生え薬には大きくわけて2種類のものがある

毛生え薬として処方される薬は複数ありますが、どのような仕組みで毛髪に効果があるのかという意味では大きく2種類に分けられます。それは、男性ホルモンに作用するものと、頭皮環境に作用するものです。

男性ホルモンに作用するもの

薄毛治療に使われているプロペシアやザガーロといった薬は、主に男性ホルモンに作用する薬です。

本来男性ホルモンの一種であるテストステロンには、体毛を濃くする働きがあります。しかし、これが頭皮に存在する5αリダクターゼIIという酵素と結合することで、薄毛の原因になってしまいます。加齢によって頭皮環境が変わり5αリダクターゼIIが増えれば年齢とともに薄毛が顕著になりますが、たとえ20代であっても頭皮に5αリダクターゼIIが多く存在すれば、若年性の薄毛を引き起こすことは十分にありえるということです。

そのため、男性ホルモンの分泌自体を抑制することで薄毛の対策になります。

頭皮環境に作用するもの

一方、薄毛治療に使われているミノキシジルのような薬は、主に頭皮環境に作用するものです。

男性ホルモン以外に薄毛の原因になるものとして、頭皮環境があげられます。特に頭皮の血行が悪いと髪の毛が抜けやすくなったり、生えにくくなったりします。そのため、血管を拡張させて頭皮の血行を改善することで薄毛の対策を進めていきます。

毛生え薬が直接的に男性不妊を引き起こすわけではない

結論からいうと、毛生え薬自体が直接生殖機能に影響を及ぼすわけではありません。つまり、毛生え薬の使用によって男性不妊になる、ということではないのですが、副反応のひとつとして男性ホルモンに影響をあたえた結果、男性不妊の要因のひとつになるということがあります。

男性ホルモンに作用する薬の副反応が男性不妊に影響する

男性ホルモンに作用する薬のうち、特にフィナステリドという成分については、薬の副反応が精子に影響を与える可能性が医師による論文などでも指摘されています。

前述でも簡単に触れましたが、男性ホルモンというのは「体におけるいわゆる男性らしさ」を作っていくホルモンです。たとえば女性に比べて体毛が濃い、声が低い、筋肉がつきやすいといった特徴がその一例です。そして、ここには精子を作り出すといったことも含まれます。

そのため、毛生え薬が男性不妊に影響するのだとしたら、男性ホルモンの分泌を抑制することが原因で人によっては精子の数が少なくなることがあるというのが原因だと考えられます。

実際頭皮環境に作用するような薬での影響はないとされていて、さらに男性ホルモンに影響する薬でもザガーロではフィナステリドを使用しているプロペシアに比べて精子への影響が少ないということもわかっています。

毛生え薬が影響している場合、使用を中止すれば男性不妊が改善される

毛生え薬自体が生殖機能にダメージを与えているわけではないため、現在薬を使用している人でも、薬の使用を中止すれば精子への影響はなくなります。

精液所見を比べると薬の使用中止後に精子数は平均11.6倍も増加しているという結果になり、精子濃度においても500万/ml以下の人の57%が薬の使用中止後に1500万/ml以上に回復していたという報告がされています。

ただし、精子の量や質の改善には約半年程度かかることがあります。そのため、薬の使用中止後に即精液初見が改善されるという人ばかりではありません。妊活や不妊治療を検討する人に多いのは、妊活や治療を開始すればすぐに妊娠できるだろうと考えてしまうことです。もちろん希望してすぐに子供ができるに越したことはないのですが、不妊期間が長期に渡る人が多いのも現実です。

今後子供を持つことを考えているのであれば事前にそれをAGA治療の医師に伝えるのも重要ですが、すでに使用している場合でも精液への効果が出るのが先になるからといって諦めないということも重要になります。

薬に関わらず男性の日常生活が妊娠に与える影響は大きい

この記事では主に毛生え薬による男性不妊への影響をお伝えしてきました。

もちろん夫婦で積極的に妊活や不妊治療に挑戦している方々はたくさんいますが、男性の中には「妊娠するのは女性だから、妊活や不妊治療において男性ができることは少ない」と考えている人もいます。いわゆる無精子症などの重度の男性不妊出ない限り、確かに不妊治療では投薬や検診の負担は女性のほうが大きくなりがちです。

しかし、実際に妊娠にして無事に出産に至るためには精子の影響もとても大きいです。精子と卵子が受精すると今度はその細胞が分割しながら成長していきます。そしてしっかり成長したものが子宮内に着床すると妊娠が成立します。もちろん、着床さえすれば良いということではなく、さらにこれが順調に成長していくことで無事に出産することができます。たとえばその過程では、そもそも受精するかどうかは卵子の質が大きく影響しますが、それが正常に分割して成長していくかという部分では精子の質が大きく影響するという説があります。

そのため、実際に治療を受ける負担自体は少なくても、男性が精子の状態を改善に務めることは妊娠に大きく影響を与えます。そして、精子の状態というのは体調などによっても敏感に変化しやすいものです。体が疲れていたりストレスを感じていたりすることで精子の数や質といった精液初見が一時的にとても悪くなるというのは決して珍しいことではありません。

毛生え薬に関することだけではなく、妊娠しやすい精子を作るためには適度な運動をして血行を良くしたり、体調管理のために栄養状態を考えて食事をするといったことが影響することもあります。妊娠しやすい精子を作るために男性にどんな努力ができるのか、自分で調べてみたり夫婦で話し合ったりすることで、男性も積極的に妊活や不妊治療に参加していきましょう。

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「オレ、パパになれるのかな?」もし精液検査結果が悪かったら…今すぐ実践、精子力をあげる3つのポイント

2021/07/28

川口 優太郎先生

川口 優太郎先生

「オレ、パパになれるのかな?」もし精液検査結果が悪かったら・・・今すぐ実践、精子力をあげる3つのポイント


これまで、不妊症の原因の半分は男性にあるということ、そして夫婦で一緒に治療に臨むことが重要であることについてお伝えしてきました。しかし実際に、いざご主人が精液検査を受けてはみたものの、なんだか“ビミョ~”な結果だった‥‥という方も非常に多いかと思います。

 

こんな時によく患者様に聞かれるのが「主人の精子データ精子の状態を良くするには、どうしたらいいんですか??」というものです。

実のところ、精子のデータが悪くなる原因については非常に様々な要因があり、何が原因となっているのかによって簡単に改善できる場合とそうでは無い場合があるので、一概に「こうしてください」という答えはありません。

 

まずお伝えしておきたいこととしては、精液検査は、検査時の体調やちょっとした環境の変化などで大きく変わることがあるため、基本的には2~3回の結果を以て評価されることが望ましいとされています。ですので、たった1回だけの精液検査で数値が微妙だったからと言って悲観する必要は全くありません。

一方で、複数回検査をした結果、精子データが不良と診断された場合には、やはり造精機能障害など、いわゆる男性不妊を疑わなければなりません。

 

そこで今回は、精子データの改善についてのお話しをしていこうと考えていますが、最初にとても重要な部分についてお断りをしておきます。

もしご主人が、すでに無精子症や極度の乏精子症と診断されている場合に関しては、個人(民間)レベルで改善を図るのは、ほぼ不可能です。

上記の場合に特に多い症例が、精索静脈瘤(※精巣や精索部に腫瘤が認められることで、造精機能を顕著に悪化させることが知られている。男性不妊患者の約4割に認められる。)を罹患しているケースですが、この場合は外科的な手術が必要となり、適切な処置を受けることによって改善されることが多いとされています。

精管欠損や精巣炎などの場合も同様ですが、泌尿器の専門機関へ紹介をしてもらうなどして、手術などによって造精機能の回復を図る、あるいは精子(細胞)の獲得を目指すようにしてください。また、原因がクラインフェルター症候群やY染色体欠失など遺伝子(染色体)によるものであった場合には、精子の獲得自体が極めて困難となりますので、こちらも専門機関を受診するようにしてください。

 

︎まずはライフスタイルの見直しを

まず、精子データの改善に取り組むためのステップ①は『生活習慣の改善』です。

もし、ご夫婦、あるいはどちらかにでも喫煙の習慣がある場合には、このコラムを読んだ夜に人生最後の一服をして、タバコとは永遠の別れを告げてください。

喫煙は、生殖細胞に直接的に悪影響を与えることが知られており、女性では卵子の質を著しく悪化させることが知られています。また男性では、精子の運動性を顕著に低下させるほか、染色体に異常をきたした精子を顕著に増加させます。つまり、生殖医療にとって喫煙は‟悪”以外のなにものでもありませんので、本当に子どもが欲しいと願うならばこの瞬間にやめてください。

そして、飲酒の習慣がある場合も同様です。過度なアルコール摂取は、造精機能に悪影響を及ぼすことが知られており、正常な精子を造るのが妨げられてしまいます。また、インポテンツ(ED)の原因にもなりますので、必ず適量に抑えるようにしてください。

 

加えて、最近特に注意したいのがAGA治療や、育毛剤・増毛剤の使用です。

近年、「頭がちょっと寂しくなってきたなぁ‥‥」という方に、専門的な治療を行うクリニックが増えてきましたが、薄毛、抜け毛対策として使われる一部の薬剤には、男性ホルモンを抑制する効果があり、精子を著しく減少させる副作用があることが知られています。

そのため、普段からAGA治療のためにお薬を使っているという方では、精子の数が減少しているという所見が頻繁に見られます。妊娠を目指す場合には、外見よりも精子を優先してください。

 

︎精子は毎日作られる!溜めすぎず出荷すること

次に、精子データ改善のためのステップ②は、精子を溜めすぎないことです。

よくある例として、「妻がこの日に採卵だって言うんで、丸一カ月我慢して溜めてきました!」という旦那さんがいらっしゃいます。

信じられないかもしれませんが、我々にとっては実に‟あるある”な事例です。

確かに、禁欲期間が長ければ精液量や精子濃度(精子の数)は増える傾向にありますが、精子の運動率に関しては反対に著しく低下します。また、DNAフラグメントと言って、簡単に説明すると、染色体に損傷を受けた精子が顕著に増加することが知られています。要するに、長期間に渡って禁欲し溜め過ぎると、精子の質という部分が明瞭に低下するわけです。

精巣は、言わば『工場』です。精子という商品は毎日作られるので、出荷していかないとどんどん在庫が溜まっていき、古くなり、ホコリを被った状態になってしまいます。

短いスパンで、商品を作っては出荷し、作っては出荷し‥‥というサイクルを繰り返すことで、新しく質の高い商品を作ることが出来るわけです。

一番の理想は、普段から2~3日おきに出荷し続けるサイクルを作ることですが、仕事などで忙しいという方もいるかと思いますので、出来る限りの努力を心がけてください。

 

温度管理に注意!

最後に、精子データ改善のためのステップ③は、『温め過ぎ・冷やし過ぎに注意する』ことです。

精子という細胞、あるいは精子を造る精巣は、熱の変化にとても弱いという性質を持っています。温め過ぎると精子は死んでしまい動かなくなってしまいます。反対に、冷やし過ぎても運動性は極度に低下してしまいます。

そのため、陰嚢が暑いときにはだらんと垂れ下がり、寒いときに縮み上がるのは、造精機能を損なわないために、反射的に温度の調節をしているためであると考えられています。

風呂(水風呂)やサウナの長時間の利用を避ける。フィットタイプからゆるいタイプの下着に変える。膝の上でノートパソコンを使わない。長時間の座位を避けるなど、温め過ぎない、あるいは冷やし過ぎない方法を考えて工夫していくことも、精子データの改善につながります。

 

今回は、精子データの改善に焦点を当ててお話ししてきましたが、ステップ①~③に取り組んだからと言って確実に精子データが改善するというわけではもちろんありません。

初めの注意書きにもあるように、いわゆる‟厳しい所見”の病態が認められている場合には、この程度のことでは改善はほぼ不可能です。

もしも、精子検査のデータがあまり良くない結果であったとしても、悲観することなく、正しい知識を身に付けるとともに、通院先の医師らと協力をしながら治療を進めていくことが重要です。