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東洋医学の漢方は不妊にも効果的?妊活に良い理由や使用する漢方の例 | Marbera
Marbera運営事務局
2021/09/26
妊活や不妊治療というのは、たとえば怪我が治っていくように改善が大きく目に見えてわかるようなことではありません。そのうえ妊娠に直接的に影響を与える月経や排卵は、体質や健康状態が大きく影響し、他の人が実践して妊娠できたという方法でも自分に当てはまるとは限りません。また、生殖医療というのはまだまだ未知の部分が多い分野でもあり、専門の病院で不妊治療を受けて時間やお金を費やしても、残念ながらすべての人が妊娠できるわけでもありません。
だからこそ、妊娠を希望して不妊治療や妊活をしている方は、妊娠するために良いという情報があれば、医学的根拠の有無に関わらずどんなことでも参考にしてみようと考える人がたくさんいるようです。
妊娠するためにやっておいたほうが良いことややるべきことに対する考え方も、医師によって異なります。しかし、なかでも多くの医師が妊活や不妊治療との併用を勧めているのが、東洋医学の代表格である漢方です。
漢方とは
まず、そもそも漢方というのがどういうものかを簡単にご説明します。
漢方が東洋医学と呼ばれるのは、はるか昔に中国で生まれた医学だからです。そして漢方は5~6世紀頃にはすでに日本に伝わっていたと考えられ、日本でも古くから馴染みがある医学のひとつです。
西洋医学では診察により病名がつき、病気を治すための治療が行われます。その過程では科学的物質を中心とした西洋薬が使用されることが多くなります。一方東洋医学では、病気ではなく体の状態を診断します。たとえば「風邪」という病名がつくわけではなく、体が冷えている、血流が滞っている、などという診断がつくということです。そしてそれを改善するためには、薬効のある植物や動物、鉱物など自然由来のものを原料の中心として作られた生薬が使われます。これが漢方薬と呼ばれるものです。
漢方というのは民間療法とは異なり、れっきとした医学のひとつです。現代の西洋医学では漢方のみで治療するよりも早期に改善が見込める治療法もたくさんありますが、漢方によって体内の状態を抜本的に改善させながら治療をすすめることで相乗効果が得られると考える医師もたくさんいます。そのため、漢方外来や漢方内科を併設する総合病院も存在します。
漢方が不妊に良いと考えられる理由
では、不妊治療や妊活に漢方が効果的であると考えられる理由を説明します。漢方にできること、漢方ではできないことを理解して、自分自身の体の状態と照らし合わせて考える参考にしてください。
きちんとした医学であるからといって、闇雲に取り入れるのではなく、自分の体が今どういう状態にあり、漢方でどんな改善が見込め、それが妊娠にどう影響するかということを自分で理解して取り入れていくのが理想的です。
漢方では解決できないこともある
すでにお伝えしたように、漢方というのは基本的には体の状態や反応を診る医学です。そして、血や気のめぐりが悪いなどがわかれば、生薬によってそれを改善していきます。
そのため、たとえば不妊の原因が卵管の癒着のようなものであったり、そもそも精子や卵子を作り出す機能的な問題であったりする場合は東洋医学では改善が難しいケースです。
冷えや血のめぐりは排卵に大きく影響する
一方で漢方が妊活に効果的に働くのは、冷えや血のめぐりなどが影響してホルモンバランスが崩れているようなケースです。体の冷えや血流の低下はそのまま内蔵の働きにも影響を与えます。子宮や卵巣内の血流が悪くなると、ホルモンの正常な分泌が阻害されたり、卵胞の発育が遅れたり、あるいは子宮内膜が十分に育ちにくくなったりという不妊につながる症状が現れることがあります。
卵胞の発育が安定しないと、無排卵になってしまう、卵子の質が低下してしまうということも起こり得るため、月経がきていても妊娠しにくいという状態を引き起こすこともあります。
そのため、次のような人は妊活に漢方を取り入れるのがおすすめできる人といえます。
- 生理不順、あるいは基礎体温にばらつきがある人
- 検査しても特に問題が見つからないのに妊娠できない人
- 本格的な不妊治療の前に、まずは取り入れやすいことから挑戦したい人
妊活に向いている漢方薬は?
大前提として、漢方薬は漢方専門の医師など専門家によって個人に合わせて処方されるのが理想です。ここではあくまでも参考までに、妊活にどのような漢方薬が使用されるのかを紹介します。
当帰芍薬散
当帰芍薬散は、三大婦人漢方薬ともいわれています。妊活や不妊に関わらず、様々な人科系の症状に向いていると考えられている漢方です。更年期障害のようなホルモンバランスの乱れに処方されることも多いものです。
抜本的なホルモンバランスの調整だけでなく、不妊治療において排卵誘発剤との併用で効果を高めたり、切迫流産の薬の副反応軽減などの効果も期待され、不妊や妊活において西洋医学と並行して使用されることが多い漢方薬でもあります。
補中益気湯
こちらは男性不妊に多く処方される漢方薬です。女性の排卵が少しのストレスや環境変化に敏感なように、健康な人であっても精子の状態というのは日々の体調によって簡単に変わってしまうものです。
オーバーワークで疲れが溜まっているときや、前日にしっかり睡眠が取れていない状態で精液検査を行うと、一時的に著しく悪い結果が出ることは珍しくありません。そのため、まずは体全体の疲れなどを対処することで精子の状態が良くなる可能性があります。
補中益気湯は不妊のみでなく、そもそも元気がでない場合や、食欲がない、胃腸の調子が悪いなどにも広く処方される漢方です。
妊活に漢方を取り入れるには
妊活や不妊治療に漢方を取り入れてみようと考える人のために、具体的な方法をお伝えします。
かかりつけの婦人科で相談する
妊活や不妊治療のためにすでに病院に通っている場合は、そちらで相談してみると良いでしょう。お伝えしたように、総合病院であれば漢方外来を併設している病院もありますし、不妊治療の専門病院でも積極的に漢方を推奨していることもあります。ただし、中には特に漢方を重視していない方針の医師もいるので、肯定的な意見を言われることばかりではないかもしれません。
漢方専門の病院を探す
かかりつけの婦人科がない場合や紹介を受けられなかった場合などは、漢方専門の病院を探してみましょう。婦人科や不妊治療専門病院で漢方を推奨している病院が近くになければ、通常の漢方外来などで探してみてください。
医療機関で診察を受けることで、保険適用で漢方薬を処方してもらうことができたり、処方箋がなければ買うことができない漢方薬を処方してもらうこともできることがあります。また、漢方では体の変化をみながら漢方薬を変えたり、追加したりということがこまめに行われるため、専門的な知識をもとに配合されることでより高い効果が期待できます。
漢方薬局に行く
漢方薬には、保険適用ではなく自費で購入できるものがあります。漢方薬局では漢方に詳しい薬剤師が体の悩みや状態を聞き、自費で購入できるものの中から良いと思われるものを選んでくれます。通常のドラッグストアでも漢方を扱っているものはありますが、漢方薬局では種類豊富に漢方を扱っていることが多く、漢方に関する知識が少ない人でも医療機関にかかるより簡単に漢方にチャレンジできます。
市販の漢方を購入する
漢方には、ドラッグストアやオンラインで手軽に購入できるものがあります。
そもそも漢方には副反応がないと誤解している人もいますが、医学的にも副反応がわかっている漢方は存在します。市販品の漢方では副反応が起きないように生薬の量や種類が限定されているので副反応の心配はありません。ただし、その分効果が弱くなってしまうこともあれば、自分の症状に向いている薬と異なるものを選んでしまうこともあります。とにかく手軽さを求めるという以外には、一度診断を受けるのが理想的です。
東洋医学の漢方で妊活中の体内を整える
たとえば体外受精のように、西洋医学的な不妊治療というのは直接的に妊娠を手助けするものが多いです。それと比較すると、東洋医学である漢方は妊娠させるための医学というより、妊娠できる状態に体を整えるための医学と考えることができるかもしれません。
それを踏まえた上で、漢方に頼りすぎるのではなく妊活に上手に取り入れるのが理想です。たとえば、漢方だけに頼って長期的に時間を使うより、漢方で効果が見られない場合には不妊専門の病院で診察を受けるなど、他の方法と合わせて取り入れることも重要です。
また、手軽さを優先するあまりにかえって遠回りになってしまうこともあります。漢方専門医や漢方薬局での処方は市販の漢方を購入するより時間も費用もかかりませんが、自分にあった漢方を選択できていことに気が付けない場合もあり、漢方に高い効果を期待するのであれば専門家に見てもらうほうが安心です。漢方とどのように付き合っていきたいか考えた上で、漢方の取り入れ方を検討してみてください。
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