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セルフメンタルケアのコツは書き出すこと。認知行動療法の方法など | Marbera

Marbera運営事務局

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2021/07/07

不妊は精神的負担が大きい

2021年の国立成育医療研究センターなどの調査によると、高度不妊治療を始める、もしくは始めたばかりの女性の54%に抑うつ症状が見られることがわかりました。

高度不妊治療というのは、不妊治療の中でも主に体外受精のことを指す言葉です。一般的には不妊治療の経過として、最も妊娠しやすい日と性行為の日をあわせるためのタイミング指導や、採取した精子を女性の体内に注入する人工授精、そして体外受精というように治療の方法を変えていきます。つまり高度不妊治療を始める段階ですでに長期的に不妊の悩みを抱えている人が多いということになります。

特に不妊治療の最終ステージともいえる体外受精はそれまでの治療とは大きく異なり、費用面やスケジュール面、そして身体面でもさらに大きな負担がかかる治療です。

長期的に不妊の悩みを抱えてきたということや、治療の大変さなどを考えると、高度不妊治療初期の状態ですでに半数以上の女性が抑うつ状態だということも十分に理解ができます。

不妊治療の負担を軽減させるセルフメンタルケアの方法

不妊という状態はそれだけでも焦燥感や不安を掻き立てたり、自分に自信が持てなくなったりという原因にもなります。それでなくても高度不妊治療は予定が立てにくい頻繁な通院が必要になることも多く、仕事との両立が困難になる人も少なくありません。

また、治療を始めたからといってすぐに良い結果が出るとも限らず、さらにはつらい治療を乗り越えたからといって必ず妊娠、出産できるという保証もないというストレスの要素が多い治療です。

少しでも心身の負担を減らしながら治療を続けるためには、セルフメンタルケアによるストレスコントロールの術を身につけることをお勧めします。ここでは、いくつかおすすめのメンタルケアの方法をお伝えします。

趣味の時間を作る

ストレスマネジメントのためのおすすめの方法として、趣味の時間を作るというのは重要です。とはいえ何度もお伝えしているように、高度不妊治療では予測のつかない通院も増えるものです。そのため、旅行のような趣味に時間を使うのは難しいというのも現実。しかし、治療のことばかりに時間を使い、毎日治療のことばかりを考えていては次第に気持ちが追い詰められていってしまいます。

ときには治療をお休みして旅行に行くような時間を作るという方法もあれば、映画鑑賞や手軽にできる軽い運動などを趣味のひとつにするという選択肢もあります。

相談相手を作る

ストレスというものは、溜め込んでしまうとそのうち雪だるまのように膨らんでいき、どんどんつらくなってしまうことがあります。ストレスを溜め込まないようにするためには、何でも話せる良い相談相手を持つというのもおすすめです。

しかし不妊治療や妊娠にまつわる話というのは、とてもデリケートな問題です。家族や友人には話しにくいという場合には、SNSを活用して治療仲間を探すなど、実生活で繋がりのない相手を相談相手にするのも良いでしょう。

ノートに書き出す習慣をつける

人に話すことと同様に、とにかく自分の気持ちを抱え込まずにアウトプットする方法として、ノートに書き出す習慣をつけるというのもおすすめです。

実際、日記や「書く」という行為によるストレス軽減効果というのは科学的にも実証されていて、日記を書くという方法によるストレスセラピーを行っている専門家もいるほどです。日記は自分だけのものであり、誰が読むわけでもありません。

たとえば知人の妊娠報告に対して羨む気持ちなど、純粋な感情で喜べないといった複雑な心境を吐き出しても誰かに非難される心配は不要です。人には言いにくいことを書き出したりするうちに、自分の思考の整理を行うことができます。

おすすめの書き出すセルフメンタルケア「認知行動療法」

書くことによるセルフメンタルケアは日記だけではありません。カウンセラーやセラピストといった専門家も実施しているメンタルケアの方法に認知行動療法というものがあります。認知行動療法にはいろいろな方法がありますが、紙に書いて思考を整理するという方法なら自分で試してみることも可能です。

認知行動療法の仕組みや具体的な方法をご説明します。

認知行動療法はどんなことに効果的?

認知行動療法は、うつ病や統合失調症といった精神疾患への効果も証明されている治療方法のひとつです。しかし、必ずしも病気の治療にのみ使われるものではなく、たとえば不眠症の症状を改善させたり、マイナス思考の人が考え方を変えたりすることにも役立ち、ストレス軽減のために活用することもできます。

認知行動療法の仕組みと特長

同じ体験をしたり同じものを見たとしても、思考や行動には個人差があるものです。たとえば暗い場所に不安を感じる人もいれば、そうではない人もいるというのがこの個人差にあたります。人によって思考や行動に癖があるもので、これに偏りがあるほどストレスを感じる機会が多くなりがちです。

認知行動療法というのは、この思考や行動の癖を見直し、自分の認知や行動パターンを変えていくことでストレスを軽減させていくという仕組みで、比較的効果が出やすいということや、自分ひとりでも習慣化しやすいというのが特長です。また、思考や行動のパターンそのものを変化させるため、改善された状態が継続しやすいというのも利点です。

挑戦しやすい認知行動療法の方法

認知行動療法自体にもいくつかの方法がありますが、書き出すことによる認知行動療法にもさらにいくつかの方法があります。ここでは、自分ひとりでも取り組みやすい方法をひとつご紹介します。

認知行動療法の初期ステップ3つの項目

書き出すことによる認知行動療法では、7つの項目を使います。初期ステップでは、自分の今の状況や感情を整理するために、次の3つを書き出します。

  • 状況
  • 自動思考
  • 感情

状況の場所には、起こったできごとを書きます。次に、自動思考の場所にはそれによって自分がどう思ったかを書きます。そして感情の場所には、端的にそれに伴う感情を書きます。

ここでの重要なポイントは3つあります。まずひとつ目は、自分の思考や感情を素直に書き出すことです。誰に見せるわけではなくても、自分の思考や感情と向き合うのは苦しいときもあり、つい事実ではなく理想を書いてしまうことがあります。しかし、認知行動療法というのは今の現状をどう変えていくかということなので、前提となる思考や感情は現在の状況に忠実なものであることが望ましいです。

ふたつ目のポイントは、整理しやすくするために状況はひとつ、それに伴う自動思考や感情については複数あっても構いません。みっつめは感情にはそれぞれパーセンテージをつけて表示することです。

下記が具体的な一例です。

  • 状況:友人から妊娠報告を受けた。
  • 自動思考:①簡単に妊娠できて羨ましい。②自分だけがこのまま妊娠できないのではと不安。③純粋に喜んであげられない自分は酷い人間だ。④友人の妊娠自体は喜ばしいこと。
  • 感情:妬み(50%) 悲しい(30%) 自己嫌悪(50%) 喜び(20%)

認知行動療法の中期ステップ2つの項目

初期ステップは、自分の感情や状況を整理するための作業です。この時点では、思考や感情には自分の癖が含まれています。中期ステップでは、これを事実に基づいて整理することで客観的な思考を取り戻します。そのためには、下記の2項目を書き出していきます。

  • 根拠
  • 反芻

事実の箇所には、状況に基づいて感情や思考を入れずに客観的な事実のみを書き出します。反芻の箇所には、自動思考に対して矛盾する内容を書き出します。いずれも複数あっても構いません。下記がその一例です。

  • 根拠:友人が妊娠した。自分は結果が出ていない。
  • 反芻:①妊娠した友達が、妊娠に関する悩みがなかったとは限らない。②不妊治療を続けている別の友人もいる。③④友達を祝福する気持ち自体はある。

認知行動療法の最終ステップ2つの項目

初期段階では現状と自分の思考の癖を整理し、中期ステップではそれを客観的な視点から整理しました。次に、思考や行動の癖を直していくために「どうやって考えると楽になるのか」という結論につなげます。ここでは下記2つの項目を書き出します。

  • バランス思考
  • 変化した感情

バランス思考でもっとも簡単なのは、自動思考と反芻をかけ合わせたものを書き出す方法です。そしてバランス思考を見直したあと、自分の感情の変化を初期ステップ同様パーセンテージで書き出してみましょう。下記がその具体例です。

  • バランス思考:①友人は妊娠できたけれども、これまで妊娠に悩んでいたかもしれない。②自分はまだ妊娠できていないけれど、他にも妊娠できていない人はいるし、これから妊娠する可能性はある。③友人の妊娠は嬉しい気持ちもあり、それ以外の感情があっても酷い人間なわけではない。
  • 変化した感情:妬み(20%) 悲しい(10%) 自己嫌悪(20%) 喜び(40%)

羨ましいという感情や悲しい気持ちがすべて消えなくても問題ありません。しかし、初期ステップでの感情と見比べてみると、ネガティブな気持ちがぐっと軽減されていることがわかります。

認知行動療法を日頃の習慣に

書き出すことによる認知行動療法は、気が向いたときにいつでもできるものであり、不妊治療以外のことでも十分に効果を発揮します。たとえば仕事や対人面で行き詰まりを感じていたり、治療中の夫婦関係に悩みを感じていたりするときにも実践してみましょう。

ただし、認知行動療法自体が負担になるようではあまり効果が得られません。義務的にとらえるのではなく、自分の心を軽くする方法と考えて空いた時間で気軽に挑戦してみてください。それでも精神的な負担が大きいようであれば、自分ひとりで抱え込まずに専門家の力をかりるというのもひとつの選択肢です。

不妊治療を専門とした心理カウンセラーというのも存在するので、ストレスマネジメントのひとつの方法として一度相談してみても良いのではないでしょうか。

息詰まったときは、ぜひMarberaで相談してみてくださいね。

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