- 妊活と仕事の両立
不妊治療に関する職場への伝え方。仕事との両立は難しい?

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不妊治療と仕事を両立している人は?
妊活や不妊治療という言葉は、特に女性の間で一般的なものになりつつあります。そのため、厚生労働省の調べによると、2015年の時点で出生児の約17人に1人は生殖補助医療、つまり何らかの不妊治療の結果に産まれていることがわかっています。
しかし、不妊治療は治療の段階が進めば進むほど、通院や投薬が増えていくことが多い傾向があります。そのため、特に女性には薬の副反応が起きる人や、そもそも不妊治療に悩みメンタル的な問題を抱えている人がいるというだけでなく、通院と仕事のスケジュール調整に悩む人も多くなります。
その結果、同じく厚生労働省の調べによると、不妊治療以前と同様に仕事を続けている人は約半数程度。それ以外には下記のようなケースが見受けられました。
- 不妊治療を諦めた
- 雇用形態など仕事の内容を変えた
- 仕事を辞めた
不妊治療をするなら仕事を辞めたほうが良い?
不妊治療と仕事を両立すべきかどうかというのは、その人の状況にもよるので一概にどうすべきと答えることはできませんが、参考までにいくつかのケースをご紹介します。
たとえば治療以前から仕事がつらいと感じているなど、仕事の負担が大きい場合には不妊治療のために仕事を辞めるというのもひとつの選択肢です。実際にストレスによってホルモンバランスが崩れがちになるということは珍しくないため、仕事を辞めたことで治療をしていても気持ちが楽になったという人もいます。
さらに、出張が多かったり突発的に休むことができない仕事の人は、治療をしていても仕事を優先させなければならず、思ったように治療のスケジュールを組むことができないという問題も起こります。その結果、仕事を辞めて治療に専念することで妊娠に至ったというケースも耳にします。
その一方で、不妊治療は治療のステージが進んでいくほど費用負担も大きくなるのが一般的です。タイミング法より人工授精、人工授精より体外受精のほうがお金がかかり、体外受精では1回あたり平均50万円という高額な費用が必要です。もちろん一度で成功するに越したことはないのですが、治療を複数回繰り返す人は多く、治療費を捻出するためにも仕事を辞められないという人は多いようです。
また、不妊治療を続けているうちに孤独感に悩む女性もたくさんいます。自分だけが妊娠できないような気持ちになる、妊娠できない自分に大きな欠陥があるように感じるなどつらい気持ちを抱えていても、性別の違いからその気持ちをパートナーとも共有できず、ふさぎ込んでしまうこともあるでしょう。仕事を辞めてしまうと治療と家庭だけの毎日になりがちなため、治療の気分転換として、また、自己肯定感を保つ場として、仕事をしていたほうが良いと考える人もいるようです。
不妊治療をしていることを職場に伝えるべき?
不妊治療と仕事を両立している人で、不妊治療をしていることを職場に伝えている人は約半数ほどいます。そのうちの約85%の人は、職場全体に伝えているわけではなく、人事や上司など必要と感じた一部の人に不妊治療のことを伝えていると回答、残りの15%の人は相手を問わず治療のことをオープンにしていると回答しています。
職場に伝えるべきかどうかというのも、仕事の両立と同様にその人の性格や事情、職場環境などによってケースバイケースと言えるでしょう。
たとえば結婚や妊娠などにあまりポジティブな対応を取らない会社や、他の人がトラブルになったようなケースを見たことがある環境では、職場に伝えてもあまり理解を得られないことがあるため、慎重になる必要があります。
しかし、不妊治療に対して支援制度を設けている会社や、妊娠や出産をする女性に対して産休、育休などの実績があり、かつ実際に復職している人も多いような環境なら理解と配慮が得やすい傾向があるのでひとつの参考にしてください。
不妊治療のことを職場に伝えるなら、どんな伝え方が良い?
不妊治療をしていることを職場の人に伝える一番のメリットは、治療における必要な配慮を得られる可能性があるということです。しかし、不妊治療という言葉はたしかに広く知られつつありますが、実際の治療内容や通院状況を詳しく知っている人はまだまだ少ないということは覚えておきましょう。
不妊治療のことを職場に伝えるならば、伝える側もその伝え方には注意を払う必要があります。
治療において起こる問題を明確に説明する
職場において、不妊治療の当事者ではない人に治療のことを伝えるのであれば、治療と仕事の両立において起こりうる問題を明確に説明することがポイントです。受けている治療の内容によって伝えるべきことは異なるため、下記の要点を参考にしてください。
- 通院頻度の目安
- 通院スケジュールがいつわかるのか
- 通院にかかる時間
- 薬などの副反応について
- 不妊治療のことをどの程度オープンにしたいと考えているか
通院頻度の目安やスケジュールについて
タイミング法や人工授精であればある程度通院頻度の目安が立てられ、そのスケジュールもおおよそであれば事前にわかることがあります。それに対して、体外受精の場合はそもそもスケジュールが前日にならないとわからないということも多いので、その場合はその点も含めて伝える必要があります。
通院に必要な時間
通院に必要な時間は通っている病院によっても大きく異なります。オンラインで待ち時間の目安がわかるシステムを導入していたり、注射を打つだけの日はほとんど待ち時間がないという病院もあれば、予約をしてても通院のたびに2~3時間余裕を見ておく必要がある、という病院もあるので、状況に合わせた内容を伝えるようにしましょう。
薬の副反応について
不妊治療で使用する薬は、治療周期によって変わることがあります。これは、今までの治療と別のアプローチをすることでどの方法がその人にあっているかを模索する場合があるからです。そのため、今は大きな副反応を感じていなくても、薬によって今までと異なる副反応が出ることも考えられます。
薬の副反応について伝える際は、医師にどのような副反応があるかを確認すれば伝えやすいのですが、その上でどんな副反応が出るかが予測しきれないということも伝えて起きましょう。
不妊治療のことをどの程度オープンにしたいか
不妊治療というのは本来はとてもプライベートなことで、かつデリケートな内容でもあります。不妊治療のことを伝えたほうが気負わずに仕事がしやすいと考える人がいる一方で、それでも治療のことを人に伝えること自体抵抗を感じる人がいてもおかしいことではありません。
必要に迫られて上司や人事といった一部の人に伝える場合でも、できれば同僚にはあまり知られたくないと考える人は多いです。業務内容によっては周囲との調整が必要なことが多く、できれば仕事のパートナーには伝えてほしいと上司から逆に打診を受ける場合もあるようです。自分が納得した状況で仕事と両立できるように、どの程度オープンにしたいか、どの程度オープンにすべきかということを相談しておきましょう。
どうしたら自分の負担が少ないかを考えて働き方を決めてみて
繰り返しになりますが、不妊治療と仕事を両立すべきか、不妊治療のことを職場に伝えるべきか、という問題には、必ずしもこうすべきであるという答えがあるわけではありません。
ワークライフバランスを考える上で、もちろん社会で働く一員であってもプライベートな内容は自分で決める権利があります。そして、たしかに最近では不妊治療に関するサポートを行っている会社も増えています。しかし、その一方で働く女性の多くが「できれば気持ちよく仕事がしたい」と考えています。
不妊治療のことを職場に伝えることは、メリットにもなればデメリットにもなり得ます。治療のことを伝えたほうが仕事がしやすいかどうかというのは、精神的な負担も踏まえて考えてみてくださいね。

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