• メンタルケア

自己嫌悪から抜け出す方法・不妊治療中のメンタルケア

今井さいこ先生

不妊治療中に感じる”自己嫌悪”との付き合い方

こんにちは。

心理カウンセラーの今井さいこです。

不妊治療中に子どもを見ると胸がざわついたり、友人からの妊娠・出産報告を素直に喜べなかったりすると、「私はこんな嫌な人間だったんだろうか?」「こんな私だから赤ちゃんが来てくれないんだ」と自己嫌悪に陥る方がいます。

周囲との関係からだけではなく「我慢していたお酒を飲んでしまった」「甘いものがどうしても止められない」など自分の意志の弱さが自己嫌悪につながる方もいるようです。

「いやな自分」を受け入れるのは難しいですよね。

不妊治療中に自己嫌悪に陥るようなことがあったらどのようにメンタルケアをすればよいのでしょうか。

自己嫌悪とは・・・?

皆さん、日常の中でも「自己嫌悪」という言葉を使うことがありますよね。

自己嫌悪という感情は,「客観的事実はどうであれ、否定的な感情や事象が自分自身に由来するとし、自分が自分自身のことをいやだと感じること」と定義されています。(*1)

つまり、不妊治療中に友人の妊娠報告を快く思えないことが本当に嫌な人間かどうかはともかく、その感情の原因を作っているのが自分であると思っているので自分を嫌だと感じてしまうのです。

「自分が嫌い」、この状態が長く続いたら自分を通して見える世界すべてが嫌いになっても不思議ではないですよね。

この自己嫌悪の感情から抜け出すためには、どのようにメンタルケアをすればよいのでしょう。

自己嫌悪の感情から抜け出すために

自己嫌悪の感情から抜け出すためには、自分を否定する感情としっかり向き合うことで自己嫌悪にプラスの意味づけをすることができ、抜け出すことができるようになります。

自分を否定する感情としっかり向き合う

では、「自分を否定する感情としっかり向き合う」とは具体的にどういうことでしょうか。

自分が感じている感情を直視し、「私は、今〇〇についてとても否定的な感情を持っているんだ」と客観的に理解することです。理解した事実について“良い/悪い”の判断はしません。

ただそう理解する、ということが大事なのです。

これだけでも自己否定の気持ちから解放され、冷静な状態になるため、心が楽になります。

その状態になってから、「なぜ否定的な感情がわいてきたのか」について自分に問いかけてみてください。理由が分かることで自己理解につながり、次にまた同じような状況が起きたときに「自己嫌悪の感情」を冷静に受け止めることができるようになります。

そうできると、自己嫌悪の感情が沸いてもストレスにならないので、気持ちが楽になりますよね。

ネガティブな感情も「善」として扱う

自己嫌悪、自己否定、などネガティブなワードを含む感情を人は「悪」として捉えがちです。

でも、人間は感情の生き物ですから、いつもポジティブな感情だけを持つことは不可能です。

ネガティブな感情があってこそ、バランスが取れていると言えます。

なので、ネガティブな感情を「悪」と捉えるのではなく、自分の一部として受け止めるようにしましょう。

どうしても自己嫌悪の気持ちが強いときには、口に出して「こんな感情を持つ私は人間らしい」と言ってみましょう。

少し気持ちが楽になりますよ。

【参考文献】

*1:水間玲子1996a自己嫌悪感尺度の作成教育心理学研究,44,296-302.

 

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今井さいこ先生

心理カウンセラー/公認心理師/マインドフルネス認定講師/睡眠指導者 高校生の時「環境が心に与える影響」に興味を持ったことから、大学で心理学を専攻。その後、社会人としてベンチャー企業に勤める傍ら、心理カウンセラーとしての勉強と実践を積み、2009年から女性向けのカウンセリングを始める。2013年からの5年間、妊活支援に特化したメンタルケアサービスを提供。現在は、「ライフイベント×仕事」を軸に働く女性の両立支援サポートに注力。30~40代女性向け個人カウンセリングの他、法人向けに、従業員のメンタルヘルスサポート(カウンセリング、ストレスチェックなど、各種研修など)やコンサルテーション、メンタルヘルスサービスのアドバイスなどをおこなっている。