- メンタルケア
私の本音は?どうしたい?「人生の豊かさ」という視点から不妊治療を考える

今井さいこ先生

こんにちは。
心理カウンセラーの今井さいこです。
今回は、「自分の本音と向き合おう」というテーマです。
年齢を重ねると周囲や世間からの無言のプレッシャーを感じて、結婚・妊娠・出産を意識することがあります。
私のところへ相談に来る方の中にも「年齢的になんとなく不妊治療をしているけれど、本当は子どもが欲しいのかどうかわからない」という悩みを抱えている方がいらっしゃいます。
周囲から感じるプレッシャーと自分の価値観への板挟みになったとき、どのように自分と向き合えばよいのでしょうか。
不妊治療をしながらも「授かること」への不安や疑問を抱く矛盾
多くの人が「子どもを授かるため」に不妊治療をしています。
そのことには間違いないのですが、その方たちが全員「心から子どもを望んでいるか」というと必ずしもそうとは限りません。
・本当は子どもがいない人生は自由で良いと思っている
・親孝行の一環として「孫のいる幸せ」を味あわせてあげたい
・今は積極的に欲しいと思わないが将来後悔をしたくないので生めるときに生みたい
など、年齢や価値観、世間体から「不妊治療」という選択をしている方もいます。
このコラムを読んでいる方の中にも、共感できる方がいるのではないでしょうか。
そういう方の中には「かなり少数派の意見で口に出してはいけない」と思っている方もいるようです。
自分が持つ価値観に「善/悪」の判断はいらない
自分が持つ「子どもを欲しいと思わない」という価値観に善/悪の判断をする必要はありません。
今は、多様性が認められる世の中でマイノリティであっても堂々と声を上げてよい時代になってきました。
もし、「こんな考え方世間には受け入れられない」と不安を感じているようでしたら、あえて口に出す必要はありませんが、心の中で堂々とその価値観を持ってよいことを知りましょう。
ただし、「子どもをもつ/もたない」の判断はパートナーの人生も大きく左右するものです。
夫婦間においてはその価値観を共有し、しっかりと話し合うようにしましょう。
あなたが望む「人生の豊かさ」という観点
妊活中はどうしても「子どものいる人生」が自分の人生にとって豊かであることの象徴のように感じます。
しかし、人生の豊かさは決して1つの基準だけで計れるものではありません。
キャリア、人間関係、住む場所、お金、など多くの要素であなたの人生は彩られています。
自分の本音と向き合うために、自分の人生にどのような要素があると「豊かである」と表現することができるのか、紙に書き出してみましょう。
この作業は、誰に見せるわけでも、誰かと一緒にやるわけでもありません。人の目を気にして書く必要はないので、思いつくままに書き出してみると自分の本音が見えてきます。
人生の豊かさという観点から今の不妊治療を見直してみると、あなたが心から望む“今すべきこと”が見えてきますよ。

今井さいこ先生
心理カウンセラー/公認心理師/マインドフルネス認定講師/睡眠指導者 高校生の時「環境が心に与える影響」に興味を持ったことから、大学で心理学を専攻。その後、社会人としてベンチャー企業に勤める傍ら、心理カウンセラーとしての勉強と実践を積み、2009年から女性向けのカウンセリングを始める。2013年からの5年間、妊活支援に特化したメンタルケアサービスを提供。現在は、「ライフイベント×仕事」を軸に働く女性の両立支援サポートに注力。30~40代女性向け個人カウンセリングの他、法人向けに、従業員のメンタルヘルスサポート(カウンセリング、ストレスチェックなど、各種研修など)やコンサルテーション、メンタルヘルスサービスのアドバイスなどをおこなっている。