- メンタルケア
不妊治療が原因で離婚の危機?!夫婦一緒に未来のビジョン設定

今井さいこ先生

こんにちは。心理カウンセラーの今井さいこです。
「なかなか子どもができない」
「不妊治療が思うように進まない」
その焦りから夫婦間で気持ちにすれ違いが起きてしまうことは珍しくありません。
夫婦カウンセリングに訪れるご夫婦の中には、「このカウンセリングで妻/夫が変わらないなら離婚も辞さない」という覚悟を持ってお越しになる方もいらっしゃるほどです。
愛し合って結婚したはずなのに、なぜこのようなすれ違いが起きてしまうのでしょうか。
今回は、不妊治療をきっかけに夫婦間に溝ができてしまったご夫婦に向けて、関係修復の仕方についてお伝えします。
「ワルモノ探しの不妊治療」から抜け出しましょう
夫婦カウンセリングでの経験から、夫婦間に溝ができてしまう原因として「不妊治療」に対する夫婦それぞれの捉え方の違いがあると私は考えています。
女性は「子を産む」という肉体的なタイムリミットがあり、時間軸で不妊治療を捉える方が多いです。
一方、男性は「養う」という観点から仕事(昇進や転勤など)や収入など生活の基盤を軸に不妊治療を捉える傾向があります。
つまり、女性は「時間(年齢)」という止められない敵と戦っているのに対し、男性は「一家の大黒柱としての責任」という心の内に秘めたもの、つまり「自分自身」と戦っているのです。
まず、ここに溝があることに気づきましょう。
「夫が不妊治療に理解をしてくれない」
「不妊治療にステップアップしてから妻がますます妊活に執着しているように感じる」
など双方からの意見を聞きますが、上記のことを踏まえた上でそれぞれの思いや背景を整理すると、見えてくるのは「子どもがほしい気持ちは一致していること」です。
「夫が協力しないから不妊治療が進まない」
「妻がイライラしているから家に帰りたくない」
そんな『ワルモノ探しの不妊治療』から抜け出すことがまずは大事です。
そのためには、「子どもを授かる」ということについてのお互いの考えをきちんと話し合うことが大切になります。
夫婦2人では感情的になってしまい、なかなか話し合いにならない場合には、第三者(医師、カウンセラーなど)に間に入ってもらいましょう。
それぞれのライフプラン、共有していますか?
“子どもがほしい気持ち”が一致していることはわかった。
じゃぁ、そのあとはどうするの?
そう思いますよね。
その後は、夫婦それぞれのライフプランについて話し合いましょう。
不妊治療や子供のことだけではありません。
仕事のこと、趣味のこと、親の(介護の)こと、ペットのこと、家のこと・・・
自分がどんな未来を描いているか、理想を持っているか、話してみましょう。
そして、それを1枚の紙に表してみると良いと思います。
いつ頃どんな生活をしているか、その理想の話はきっと楽しいはずです。
そして、そのためにどのぐらいお金がかかるのか、という現実も見えてくると2人にとってより身近な未来へと変わってきますよね。
「この人となら楽しい未来が待っている」そう感じていた頃の思いを2人のライフプランづくりを通じて確信できるはずです。
不妊治療は、当たり前ですが1人ではできません。
また、どちらかが我慢をすれば良いものでもないですし、どちらかが頑張れば良いものでもありません。
夫婦2人の気持ちが一致していることをお互いが感じた中で進めていくのが理想です。
中には、お互いの我慢の末に妊娠・出産をした方たちもいるでしょう。
ですが、そういう方たちのその後の育児・夫婦関係のお話を聞くと胸が痛くなることがあります。
「子は鎹」という言葉がありますが、子どもがいてもいなくても、長い人生の最後まで一緒に歩むパートナーとしての関係を築いていきたいものですよね。
そう考えると、不妊治療は夫婦の絆を深めるきっかけと捉えることができます。
今、夫婦仲が悪く離婚まで考えている方も、もう一度パートナーと心から繋がれる関係を目指してできることから始めてみてはいかがでしょうか。

今井さいこ先生
心理カウンセラー/公認心理師/マインドフルネス認定講師/睡眠指導者 高校生の時「環境が心に与える影響」に興味を持ったことから、大学で心理学を専攻。その後、社会人としてベンチャー企業に勤める傍ら、心理カウンセラーとしての勉強と実践を積み、2009年から女性向けのカウンセリングを始める。2013年からの5年間、妊活支援に特化したメンタルケアサービスを提供。現在は、「ライフイベント×仕事」を軸に働く女性の両立支援サポートに注力。30~40代女性向け個人カウンセリングの他、法人向けに、従業員のメンタルヘルスサポート(カウンセリング、ストレスチェックなど、各種研修など)やコンサルテーション、メンタルヘルスサービスのアドバイスなどをおこなっている。