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不妊治療で悩ましい、夫婦の温度差。原因や解決法は?

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不妊治療で夫婦の温度差を感じる女性は半数以上
不妊治療というものは、年齢や個人個人の体の状況、不妊治療への考え方などによって様々な治療方法を選択することが可能です。そのため、ひとくちに「不妊治療をしている」といっても、全く同じ状況で治療をしている人がいるわけではなく、常にわからないことや不安につきまとわれがちです。また、不妊治療をしているということ自体、周りに伝えられないという人もたくさんいます。
不妊の原因の50%は男性にもあると考えられているので、もちろん夫婦が足並みを揃えて治療を進めていくことはとても重要なこと。しかし物理的な治療のためだけでなく、夫婦でメンタル面のサポートをすることができれば、孤独や焦りを感じることが多い不妊治療も乗り越えやすくなります。
しかし、実際には不妊治療中の女性の約半数以上が夫婦間での温度差を感じているというデータがあります。
不妊治療で夫婦間の温度差が出てしまう3つの原因
お互い不妊治療のことを話せる友達がいたり、不妊治療中の人のブログなどを読んでいるときに、まるで自分のパートナーだけが不妊治療に対する積極性が欠けているのではと思ったことはありませんか?そんなときは人のことが羨ましくなったり、なんだか自分のパートナーをふがいなく思ったりするかもしれませんが、温度差の違いに悩むのは珍しいことではありません。
そもそも男女間の性別の違いから、どうしても理解しにくい部分が多いのも事実です。ただ積極性がないというわけではないため、その理由を知っておけば少しは女性側の不安も解消されるかもしれません。
月経や妊娠のことを当事者として考えてきた時間の違い
女性は10代の頃から生理があり、異性と付き合い性交渉を持つようになれば、妊娠に関することを身近にとらえてきた人も多いでしょう。しかし男性には生理がないため、そもそも生理や妊娠について自分ごととして考えてきた時間の長さには男女間で圧倒的な差があります。
不妊治療をしていない女性でも、生理には排卵や妊娠が関係していることを知らない女性はほとんどいません。しかし、男性となるとそれさえ知らない人も少なくありません。
もちろん不妊治療という環境に身をおかなければならなくなったことは、どんな女性にとっても唐突なことではあり、「私だって何もかも知ってるわけではない」という気持ちになるのは当然のこと。しかし、男性側も「興味がない」わけではなく「何から考えたら良いかすらわからない」ことが多いというのも覚えておいてください。
通院回数や治療内容の違い
不妊治療では、無精子症などの一部のケースを除き、ほとんどの場合男性より女性が多く通院することになります。これは不妊の原因が男性側にあっても同じことです。
一週間に何度も病院に通い内診を受け、痛みの強い注射に耐えている女性もたくさんいるはずです。これが仕事や家事と重なれば、頭の中は常に治療と仕事、家事の調整のことでいっぱいになります。こうして、否が応でも女性は常に不妊治療のことばかり考えなければならなくなってしまいます。
しかし多くの場合、体外受精のような高度不妊治療であっても、男性側は指定された日に精子を提出する以外、通院や治療の必要がありません。そのため、不妊治療の期間が長くなるうちに、かえって治療を自分ごととして考えられなくなってしまうことがあります。
自分の体と向き合うことへの不安
すでにご説明したように、そもそも生理や妊娠の話に触れてきた時間が短いため、男性の持つ妊娠に関する知識量が女性に比べて不足しがちです。そのため、「不妊=女性が原因」と考えていたり、「子供はいつか自然にできる」という思いを切り替えられなかったりする男性の話をよく耳にします。
生理痛のような生理のトラブルが人それぞれ違うということを知っている女性よりも、男性は精子に関する「個人差」に関して知る機会が少ないということです。自分の精子に問題があるということは男性にとって大きな衝撃で、まるで男性としての自分自身を否定されたような気持ちになったという人もいます。
しかし男女の差を考えると、妊娠に対して年齢的なリミットが早く訪れてしまうのは女性でもあり、不妊治療を進めていくなかで「女性としての自分に自信が持てなくなっていく」という人は多く、男性ばかりが衝撃を受けるわけではありません。不安なのは誰も同じではありますが、通院や投薬のために無理にでも向き合わなければならない女性と違って、男性は目をそらし続けてしまう人も多いのかもしれません。
不妊治療で夫婦間の温度差を埋めるための方法
では、実際に夫婦間における治療への温度差を埋めるためにはどうしたら良いのでしょうか?
不妊治療が少しでも早く成功につながるに越したことはないのですが、治療が長くなればなるほど女性への負担は大きくなり、夫婦間の温度差もますます開いていってしまうことも。「そのうちわかってくれるはず」と思うのではなく、温度差を感じ始めたら早いうちに解決するのが理想的です。
まずは話し合いをする
たとえば妊活から本格的な不妊治療へ移行しようとしているなど、不妊治療の初期段階であればあるほど、まずは話し合いをして目線を合わせておくことが重要です。
性別の違いに関わらず、治療にどこまでの技術介入を望むのか、どこまでお金をかけるのか、といった考え方は人によって大きく異り、そもそも治療自体に賛成していなければ温度差はなかなか埋めることができません。
このとき、「週に一度30分」といったように、今後の不妊治療について共有する時間をあらかじめ決めておくのもおすすめです。治療が始まってしまうと、「通院のスケジュール自体知ろうとしてくれない」「病院で何を言われたか聞いてもくれない」と、女性が1人で戦っているような状況に不満を抱きがちですが、あらかじめ共有する日時が決まっていれば無駄にストレスをためることもなくなります。
知ってほしいことを明確にする
夫婦ともに治療自体には積極的でも、「体外受精にステップアップして1年たつのに、旦那は人工授精と体外受精の違いすらわかってない」というように、男性側の知識不足に関して女性が不満を持つことも多々あります。しかしこれは決して治療に消極的ということではなく、女性のほうが通院が多く医師と話す機会が多いことや、すでに説明したように、男性が「そもそも何を知るべきなのかすらわからない」という状況にいることも原因のひとつです。
漠然と「もっと勉強して」と伝えるのではなく、この本を読んでみてほしい、このブログを読んでほしい、このことについて調べてほしいなど、具体的に知ってほしいことを伝えるようにしましょう。
医師やカウンセラーから話をしてもらう
そもそも検査に消極的な男性や、「いつか自然にできるよ」と楽観的な男性の場合は、一度医師から話をしてもらうのが効果的です。病院によってはこうした夫婦間のケアに積極的なケースもあるので、パートナーが治療を自分ごとに考えられないようなので一度二人で話を聞くことができるか相談してみましょう。
また、不妊治療専門の病院やクリニックでは不妊カウンセリングを受けられる施設があります。不妊カウンセリングでは夫婦でカンセリングを受けられることも多く、夫婦カウンセリングによってお互いの治療への意識をすり合わせたという夫婦もいます。
病院以外にも、不妊をトータルでサポートするコミュニティサービス「ベビmatch」では不妊カウンセリングを受けることができます。通っている病院には不妊カウンセラーがいないという人や、病院のカウンセリングはハードルが高いと感じる人は、こうした病院外のカウンセリングサービスを活用してみましょう。
不妊治療への夫婦間の温度差を埋めるにはお互いの努力が必要
すでに治療で大きな負担がかかっていたり、今までにも何度も話をしているのにわかってもらえなかったりという経緯があると、疲れてきてパートナーと話をする機会すら設けたいと思えなくなってしまうかもしれません。また、読んでほしい本やカウンセリングのセッティングなど、そもそも理解してもらうための準備さえ女性がしなければならないことに不満を感じる人もいるでしょう。
通院や治療の機会は少なく、たしかに女性と比べてしまえば男性側の負担が少ないことが多いのは事実ですが、男性側も精神面での負担などを抱えていないわけではありません。やはり男性も女性に理解しきれないつらさを抱えているということを理解して、感情的にならずに接していくことが大切です。
不妊治療自体が夫婦仲を悪くするものになってしまっては、治療に対する積極性に影響が出ることもあります。不妊治療はつらいことも多いですが、夫婦で支え合いながら乗り越えていけると良いですね。

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