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今は予定がなくても、妊娠出産を視野に入れた人生設計(ライフプランニング)をしてみよう!

2023/07/28

佐藤 繭子先生

佐藤 繭子先生

今は予定がなくても、ライフプランニングが必要な5つの理由

1.目標を持ち、充実した人生を送ることができるようになる

ライフプランニングとは、将来の目標や夢を具体化し、それに向かって計画的に行動することを意味します。
目標を持つことで、人生の方向性が明確になり、自分自身のやりたいことや達成したいことに集中することができます。
それにより、充実感や達成感を得ることができるでしょう。

 

2.ライフイベントによる不確実性への対応がしやすくなる

人生には様々な不確実性があります。結婚、出産、キャリア、健康、老後など、未知の出来事や困難に遭遇する可能性があります。しかし、ライフプランニングを行うことで、それらの変化や困難に対応しやすくなります。
計画を立てることで、不確実性に対する備えをし、より安心して未来を迎えることができます。

 

3.現在の満足と将来の幸福を両立させるために!

ライフプランニングは、現在の生活を大切にしつつ、将来の幸福を考えるバランスの取れた生き方を支援します。
今は将来は結婚しないと考えていても、将来どのように状況が変わるかわかりません。
無理なく長期的な視野を持つことで、自分や家族の幸せを考えた生活を送ることができます。

 

4.資産や自分自身の健康管理の重要性に気づくことができる

ライフプランニングには、自分自身の資産や健康の管理が含まれます。出産を希望する・しないに関わらず、経済的な安定や健康な体を保つことは、人生を安心して楽しむために不可欠です。自分の身体の生物学的特徴を知り、あらかじめリスクを知っておくことは重要です。その上で計画を立てることで、将来のニーズに備えるための貯蓄や保険、予防的な健康管理を自ら行うことができます。

 

5.家族やパートナーとのコミュニケーション強化につながる

ライフプランニングは、家族やパートナーとのコミュニケーションを強化する良い機会でもあります。今、既に結婚をしていてパートナーがいる場合や、結婚を考えている相手がいる人は、共通の目標を持つことで、お互いの希望や意見を理解し合い、協力して未来を築くことができます。

ライフプランニングは自分や家族の未来を明るくするために非常に重要な要素になります。将来の希望や目標を明確にし、現在の満足と将来の幸福を両立させるために、計画的に取り組んでみませんか。


Marberaには相談できる助産師、不妊症看護認定看護師が在籍しています。
ライフプランニングを立てたいときは是非相談してくださいね。保健介入できるのがMarberaです!

 

1)文部科学省.高校生のキャリア形成支援教材「高校生のライフプランニング」 
2)厚生労働省.SMART LIFE PROJECT 「プレコンセプションケア」をみんなの健康の新常識に
3)荒田尚子.女性の健康支援プレコンセプションケアとは 日本産婦人科医会記者懇談会資料.2020.

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男性の意識改革で職場が変わる?! 育児・介護休業法改正に伴う「男性育休」推進のポイント

2022/12/01

Marbera運営事務局

Marbera運営事務局

これまで多くの企業で女性社員に対して産休や育休の取得促進が叫ばれてきましたが、まだまだ男性が育児休暇を取ることへ理解や職場への浸透は日本では遅れています。

「女性活躍推進」の風潮で女性のキャリアや健康支援が大切だと思われてきましたが、それらを取り巻く環境や社会を実現するためには男性の理解、男性の意識改革が多いに重要だということが分かってきました。

今回の「育児・介護休業法改正」では、男性育休取得促進を企業で義務化することが目的となっています。ニュースで聞いてはいたけど・・・実際は無理だろう、そんなふうに思っている男性は多いのではないでしょうか?

では、男性の育児休暇取得を推進していくには何がポイントになるのか?なぜ、それが大事なのでしょうか?

それらが「当たり前」になるには職場環境、風通しの良い風土作りが大切になってきます。
本日は、この10月に追加法改正されたものも含め、休業法改正のポイントを整理しつつ、企業の雇用環境整備について考えたいと思います。

■今回の法改正のポイント

<法改正内容>4月・10月施行分

1 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
(令和4年10月1日施行)
2 育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(令和4年4月1日施行)
3 育児休業の分割取得(令和4年10月1日施行)
4 育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月1日施行)
5 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月1日施行)

参照※厚生労働省のガイド
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

*男性が取得可能な「出生時育児休業(産後パパ育休)制度の新設
*男性育休を含む育休制度の企業側から従業員への通知、取得促進義務化
*その他通常育休に関する各種改正

男性労働者に育休の取得を義務づけるわけではないが、企業側から従業員に対して“取得促進をする”ということが義務化されることを意味しています。

■男性が取得可能な「出生時育児休業(産後パパ育休)制度の新設

「産後パパ育休」が今回の法改正により新設されました。「産後ママ」ではなく「産後パパ」と呼ぶのは斬新ですよね。そんな、産後パパ育休とはどんな制度なのでしょうか。
具体的に期間や申請期限などをみていきましょう。

(2022年10月1日改正、開始)
【取得可能な期間】

子の出生から8週間の間に合計4週間分(2回まで、分割して取ることも可能)

【申請期限】

休業開始予定日の2週間前まで(通常育休は3週間前)

分割して取得できる「産後パパ育休」の新設により、育児休暇の取得がより取得しやすくなったと言えます。実は、この時期に休暇を推進するのには意味があり、それらは産後のママが体力を回復しなければならない期間だからなのです。
産後6から8週というのは、女性のメンタルケアが特に必要な時期だと言われています。

つまり、その間に配偶者がしっかりとサポートする必要があるということです。一緒に育児に向き合い、母体をケアするという意味においてもこの制度の大きな目的があります。

■50代以上の世代とZ世代の価値観ギャップ

自分たちの時代には考えられないことだった・・・。50代以上の男性たちにとっては、男性が1ヶ月もの育児休暇を取得するなど想像もつかないという現場も多くあります。
転職サービス「doda」を運営するパーソルキャリア株式会社が実施した男性育休に関する大規模調査によると20代、30代の約8割以上が育休取得を、6割が1ヶ月以上の休暇を希望しているのです。

育休を取得しなかった人の主な理由、最も多い回答は「男性が休暇を取るという考え方がなかった」が26.1%、次に「当時は制度がなかった」が23.8%、「業務の都合で難しかった」が20%となっています。逆に取得してよかったと回答した人のうち1位は育児を分担できた、3位に子供への愛情が深まったと回答しています。

調査の回答の内容を見ても、育休を取得するか否かは個人の気持ちによるというよりは職場の環境や風土、業務への影響などによる環境要因の方が大きいことが伺えます。
つまり、育休取得の鍵は「職場改革」「働き方改革」とセットで考えなければいけないというわけです。

将来子どもができた場合に育休「取得したい」という人の割合は、年代別にみてZ世代(20歳~24歳)は84.6%、ミレニアル世代(25歳~39歳)は80.1%、それ以上(40歳~59歳)は69.6%となっています。

若い世代では大きな割合ですが、アラフォー以上の世代でも比較的高いこともわかります。実際、第一子の時よりも第二子の時の方が男性の育休取得率のスコアが高くなっているのには、「一人目の時にゆっくりと子供や妻に向き合えなかった・・・」などという後悔や年齢や収入的な余裕などもあるのかもしれません。管理職など職場での立場も上になったからこそ、休みが取りやすくなったという男性もいるのかもしれません。

※第2子誕生時の方が、1カ月以上の育休取得の割合が多い

■育休取得により免除される社会保険料と改正される適用条件

ここまで制度改正の内容とポイントについて整理してきましたが、取得することが大事なのはわかったけれど、実際には「その間の収入が減ってしまうのではないか・・・」などの不安がある人もまだまだ多いのではないでしょうか。

調査でも1位は収入が減ったと回答している人がいることから、経済的な問題への不安が大きいと思われます。

休暇取得する際に「社会保険料が免除される」ことなどについて事前に知っておくと安心ですよね?以下、育休に際して知っておきたい社会保険料免除の制度について解説します。

育児休業中は雇用保険からの給付金が支給されることに加え、社会保険料免除の制度が存在します。しかし現行制度における条件には以下の課題がありました。

・月末1日だけの育児休業取得であっても保険料は免除
・賞与にかかる社会保険料も免除対象になる
・月の途中に短期間の育児休業を取得した場合には保険料が免除されない

現行制度における社会保険料免除の対象期間が「育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間」とされているため、月末の1日だけでも育児休業すると当月の保険料が免除されるしくみなのです。また、賞与にかかる社会保険料も同様に免除されます。そのため申請が月末に集中しがちだったのです。それらを受けて、2022年10月法改正では以下の条件が加えられています。

 ・賞与支給月については連続して1ヶ月を超える育児休業を取得した場合に限り、社会保険料免除となる
 ・月の途中に同一月内で育児休業を取得(開始終了)し、その日数が14日以上である場合は社会保険料免除の対象となる

(※出生時育児休業の期間中に労使合意の上で行った就業の日数は「14日以上」には含まれない)

賞与支給月を除き、「月末1日だけ」の育児休業が社会保険料免除の対象になる点は法改正後も変わりありません。
しかしその他の課題については2022年10月からの改正によってより適切な期間の休業取得へ向かうことが期待されています。

■これからの企業に当たり前に求められること

2021年度の「雇用平均基本調査」に基づく社会全体の男性の育児休暇取得率は13.97%と2019年度よりポイント増加しています。まだまだ他国と比較して低い率ではあるものの、日本でも取得率は上がってきていることがわかります。
今回の法改正でいよいよ企業での男性の育休推進が義務化され、それらの啓発が広がることによって取得率が上がることが期待されています。上記の調査データを見ても、まだまだ職場の環境に左右されることや経済的な不安が残っている・・という課題があるように思います。
実際、政府の調査でもテレワーク導入が進んでいる企業の方が育児休暇取得率が高く、働き方のスタイルが柔軟なほど浸透しやすいといったような傾向も見られます
政府はこれをきっかけに男性の意識改革から「働き方改革」や「女性活躍推進」が進むことを期待しているのです。

何のための男性育休なのか?
その目的が理解され、個人にとっても企業にとってもメリットがあるという点が正しく周知されること、また職場の雰囲気が風通しの良い環境に整備されることが大切です。

<引用>パーソルキャリア社による調査より
■調査概要
調査期間:2021年10月9日~11日
調査対象:20~59歳 学生以外の男女 1,675名
調査方法:インターネットによるアンケート回答方式
*2020年労働力調査結果に基づき、ウェイトバック集計を実施


弊社では、「働く男女に向けたウェルビーイング研修」を提供しており、男性の育児参加促進セミナーなども承っております。2022年の10月に法改正された育児介護休業法についても社会保険労務士の先生や弁護士の先生を迎え、詳しくお教えしております。お気軽にお問合せください。

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LGBTが子供を持つために。日本での不妊治療の現状は?

2021/12/01

Marbera運営事務局

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LGBTの日本での現状

最近ではよく知られるようになったLGBTというのは、セクシャルマイノリティの総称です。レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーそれぞれの頭文字をとったもので、最近では自分のセクシャリティを限定しない人を含めてLGBTQと表されることも増えました。

日本でもダイバーシティが進み、多様性を認めようという動きのなかで同性婚の合法化などの必要性が問われています。

2021年11月現在では、まだ日本では同性婚は法的には認められていません。しかしセクシャルマイノリティであることを公言する人や、LGBTカップルで事実婚をしていることを公言する人が増えています。また、自治体によってはパートナーシップ制度を設け、LGBTカップルに婚姻に相当する証明書を発行したりという動きも広がりつつあります。

こうして一般的な婚姻関係にあるカップルと同じように家族として人生をともにしている人の中には、当然子供を持ちたいと思う人がいます。けれども、たとえばレズビアンやゲイのような同性カップルでは自分たちだけで妊娠、出産にいたるということはできません。LGBTカップルが子供を産むための方法や、日本での不妊治療の現状をお伝えします。

LGBTカップルが子供を持つためには

すでにご説明したとおり、LGBTというのはセクシャルマイノリティの総称であるため、子供を持つための方法もいくつかあります。異なるケースにあわせてご説明します。

自分たちだけで妊娠が可能なケース

トランスジェンダーカップルで、かつ同性愛者だった場合や、トランスジェンダー同士のカップルだった場合は自分たちだけで妊娠が可能なケースがあります。たとえばトランスジェンダーカップルで同性愛者だった場合には、性適合手術を受ける前であれば生物学的には男性と女性の組み合わせということもありえます。同様に、トランスジェンダー同士のカップルというのも、性適合手術を受ける前であれば生物学的には男性と女性の組み合わせになるため、妊娠が可能です。

これらのケースの場合、自分の性自認とは異なる性を名乗ることになりますが、法的に婚姻関係を結ぶことも可能で、不妊治療を受けることも難しくありません。

第三者から精子の提供を受ける

一般的な同性カップルの場合は、自分たちだけで妊娠することはできません。そのため、第三者から精子や卵子の提供を受け、体外受精をする必要があります。女性同士のカップルの場合は第三者から精子提供を受けて妊娠、出産に至るというケースが多いようです。

出自を知る権利の問題

第三者からの精子提供では出自を知る権利という課題が残ります。特にLGBTカップルの場合、第三者からの精子提供を受けた可能性が高いことは子供自身も自然と知ることになるでしょう。

LGBTカップルに限らず、第三者からの精子提供を受けて産まれた子供は、後に自分は誰の遺伝子を受け継いでいるのかという疑問を抱いたり、遺伝性疾患について不安を抱いたりという可能性があります。実際自分が誰なのかがわからず、アイデンティティの喪失状態にある人は少なくないようです。

その上で、第三者からの精子提供を認めている国では、個人を特定できない範囲内での提供者情報の開示や、個人を特定できる状態での提供者情報の開示を法的に認めている国も多く、日本でも議論が進められています。しかし現状日本では提供者情報の開示はなされておらず、子供の立場を考えると第三者からの精子提供が安易に推し進められない状況です。

第三者から卵子の提供を受け、代理母での出産

男性同士の同性カップルの場合は、卵子提供を受けた上でさらに代理母での出産が必要になります。現在の日本では代理母出産自体が認められていないため、LGBTカップルの中でも子供を持つハードルが比較的高くなってしまいます。

ステップファミリー

自分たちで妊娠、出産という過程を経なくとも、養子縁組という形で子供を持つ夫婦はたくさんいます。特別養子縁組のように実親として育てている人もいますが、現在の日本では婚姻関係を結んでいない限り特別養子縁組制度の対象になりません。そのため、日本でステップファミリーとして子供を育てているLGBTの場合、どちらかがシングルとして育てていた実子を一緒に育てるというケースが多いようです。

ちなみに同性婚を合法としているほとんどの国では、同性カップルにも特別養子縁組制度の権利が認められています。

LGBTカップルの不妊治療の現状

前提として、日本では代理母出産が認められていないため、ここでお伝えするLGBTカップルの妊娠というのは精子提供を受けての妊娠の話になります。また、性適合手術を受けていなければ、性自認が男性であり生物学的には女性である「トランスジェンダー男性」でも妊娠、出産は可能です。しかし、性自認が男性である人が妊娠を望むケースは少ないため、ここでいう妊娠は主に女性同士の同性カップルと仮定します。

女性同士の同性カップルが第三者の精子提供を受けて妊娠するためには、シリンジ法を試すか不妊治療を受けるかという選択肢があります。シリンジ法というのは男性がマスターベーションによって出した精子を、シリンジという注射器のような器具を使って女性の膣内に挿入し、自然妊娠を望む方法です。シリンジ法のためのシリンジ自体は市販でもキットが売っているため、必ずしも不妊治療を受けなければならないというわけではありません。ただし、採取した直後の精子を注入する必要があるため、都度その機会を作ることは難しく、LGBTカップルが妊娠するための方法としてはあまり一般的ではありません。

LGBTカップルが妊娠するための不妊治療

女性同士の同性カップルが妊娠するためには、人工授精か体外受精いずれかの不妊治療を受けることになります。人工授精というのは男性から採精した精子を洗浄濃縮し、最も妊娠しやすいタイミングで子宮内に注入します。一方体外受精というのは女性の卵巣から卵子を一度取り出し、採精した精子と受精させてから子宮内に移植します。いずれの場合も凍結精子を使用することも可能なので、必ずしもその都度男性が協力しなければならないというわけではありません。

人工授精のほうが自然妊娠に近い方法で費用も安いことが多いですが、妊娠の確率は体外受精のほうが高くなります。

日本では原則LGBTカップルの不妊治療は認められていない

現在、日本では原則としてLGBTカップルの不妊治療は認められていません。まず、日本では不妊治療自体が日本生殖医学会の会告により「体外受精胚移植法を受けるカップルは法的婚姻関係があること、事実婚カップルの場合には事実婚カップルに由来する生殖細胞を用いる治療に限定して治療を容認すること」と規定されています。そのため、パートナーシップ制度を認めていない自治体では、不妊治療を受けること自体が難しくなります。

さらに、日本産科婦人科学会のガイドラインでは精子提供を受けての不妊治療を婚姻関係がある夫婦に限定しています。そのため、残念ながら現在ではLGBTカップルが日本で不妊治療を受けるのはとても難しいというのが実情です。

国内でLGBTカップルが不妊治療を受けたケースもある

原則としてLGBTカップルへの不妊治療は日本では認められていませんが、2019年に岡山大学が実施した調査では、匿名回答した492施設のうち4施設がLGBTカップルへの不妊治療を実施したと回答しています。しかし、これによって実際に子供が産まれたかどうかは不明です。

多様化とともにLGBTの権利拡大も期待される

そもそも婚姻関係の合法化がされていない日本では、LGBTカップルに対する法整備には課題がたくさん残っています。しかし、生活の多様化が急速に進むようになったりLGBTであることを公言する人が増えたりという背景を受け、パートナーシップ制度のようにLGBTの権利拡大も急速に進んでいます。

LGBT当事者たちは、性自認や性的対象者が今まで想定されてきた異性間恋愛と異なるというだけで、その他になんら違いはありません。大切なパートナーと家族として暮らし、子供を育てていきたいと考える人もたくさんいます。

今後LGBTの権利拡大が検討される中で、特別養子縁組制度や不妊治療に関しても検討が進んでいくことが期待されています。

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ウェルビーイングとは現代を生きるためのキーワード。女性のエンパワメントが重要な理由

2021/11/10

Marbera運営事務局

Marbera運営事務局

ウェルビーイングとは

日本や欧米のような先進国では、紛争などが減り、経済も一定の発展を遂げたことで人々の生活は昔に比べて格段に安定しました。それによって生活する人々の価値観も変わり、人がどうありたいか、どう生きていくべきかという考え方も変化してきました。

その中で注目されるようになったのは、ウェルビーイングという考え方です。

ウェルビーイングというのは健康に生きることや幸せに生きることを意味しています。では、健康に生きる、幸せに生きるということをもう少し深く考えてみましょう。

人の生き方やウェルビーイングという価値観の説明では、世界保健機関(WHO)憲章の前文が多く引用されています。世界保健機関(WHO)では、健康というのを以下のように定義付けています。

  • 健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。

言葉の概念としては、健康というより健全といったほうがイメージに近いかもしれません。ここからわかるように、ウェルビーイングな生き方というのは肉体面、精神面、そして社会的にもすべてが満たされ、自身が幸福を感じられるような生き方ということになります。社会的に満たされている状態というのは、理由なく社会参加が制限されない状態ということです。たとえば人種差別や性差別によって社会活動が制限されることは、社会的に満たされた状態とはいえません。

つまり、これらがすべて満たされているということは、実はすべての人が持っている基本的な人間の権利だともいえるでしょう。

ウェルビーイングが注目されるようになった理由

では、すべての人が持っている基本的な権利にも関わらず、最近になってウェルビーイングが注目されるようになったのはなぜでしょうか。

たとえば戦時下では、強制的に兵役に行かなければならないなど、戦争を終わらせて国を安定することを優先として個人の権利が制限されてしまうことがあります。また、日本の高度経済成長期には終身雇用が一般的だったこともあり、勤め先企業に望まれるように仕事していれば年齢とともに昇給できることなどの理由から、長時間労働も珍しくありませんでした。この頃社会活動の中心だった男性が長時間労働により家庭で過ごす時間が少ないということは、家事や育児など家庭を守る役割のほとんどを女性が担っていました。男性にとっては肉体を駆使し、家族との時間が少なくなっても仕事をこなすこと、女性にとっては社会活動よりも家事や育児を重視することが家庭を守るための方法でした。

この時代のあり方や幸せの定義が間違っているということでは決してありません。時代によって人の価値観や幸せの定義が異なるのは当然のことです。

高度経済成長期が終わり、年功序列よりも能力が優先されるようになったり、以前に比べると昇給のハードルがたかくなったり、また、女性の社会進出が進んだことで家事や育児を夫婦で分担する必要が出てきました。さらに国際的にもダイバーシティという考え方が広がることで、多様性が認められる社会になり、どんな人にも社会活動の権利があるということが再認識されるようになりました。

このように時代が変化してきた中で今、幸せな生き方を考える上でウェルビーイングという言葉が普及し始めたということです。

女性のウェルビーイングを追求するために重要なのはエンパワメント

特に日本では、社会や家庭において男女の間に性差があるということは否定できません。総務省の労働力調査によると、2018年の15~64歳の女性の就業率は69.6%に達しており、これは世界的に見ても高水準だといえます。しかし、そのうちの約8割は週35時間未満のパート労働であり、男性の労働状況とは大きく異なります。もちろん個人の希望に合わせたワークスタイルだという人もいますが、女性の正規雇用の少なさは常に問題になっています。

女性がフルタイムで働いている家庭では家事や育児の分担がされたり、男性が育休を取得するケースも増えています。しかし、実際にはこれはほんの一部であり、男女ともに「家事は女性の役割」と考えている人もたくさんいます。さらに、出産や育児によって本人の希望とは異なる形で働き方を変えざるを得ないのも女性側が圧倒的に多いという課題もあります。

このような環境で女性がウェルビーイングな働き方や生き方を追求するためには、女性のエンパワメントを理解しておいたほうが良いでしょう。

女性のエンパワメントとは

そもそもエンパワメントという言葉には、権利を与えるという意味や能力開花という意味があります。エンパワメントという概念で重要なのは、エンパワメントは周囲からなにかをしてもらうことではなく、個々が自分の権限や能力を見つめ、それを発揮することを考えるということです。さらに、社会的には個々がそれを発揮できるような社会環境をつくるということも大切です。

女性のウェルビーイングのためにエンパワメントが重要なのは、そもそも性差がある社会では当事者である女性が自分の権利や能力を過小評価してしまうことが多いからです。自分の務めてる会社では女性役員がいないから女性は役員になれないもの、子供が体調不良になったときには無条件に女性である自分が早退して迎えに行くもの、など、大きな疑問を持たずにあきらめてしまっていることはありませんか?

妊娠や出産というのは確かに女性にしかできないことではありますが、家事や育児の上では男女ともに親であることに変わりなく、女性が性別を理由にそれを担うことが決まっているわけではないはずです。また、未婚であっても親や家族の介護が必要な人もいたり、自身が体調を崩したりということもあり、「既婚者のみが仕事を最優先にできない」というわけでもありません。

女性であっても男性であっても、性別に関わらずすべての人が肉体面、精神面、そして社会的にもすべてが満たされ、自身が幸福を感じられるようなウェルビーイングな生き方をする権利があるということを今一度思い出してみてください。

ウェルビーイングのためには、まずは意識を変えることから始めてみて

たとえば出産においては、産休や育休という制度があり、実際多くの企業で育休や産休の取得実績があります。しかし不妊治療や妊活のように、そもそも妊娠のために治療の機会や時間を必要としている人のための制度はまだまだ不十分で、周囲からの理解を得るのも難しい現状です。

また、小さい子供は体調を崩しやすく、産休や育休から復帰してもたびたび仕事を早退しなければならないことで肩身が狭い思いをしたり、働き方を変えることを余儀なくされてしまう人もいます。なかには産休や育休ですら取得時に嫌な思いをしたという人もいるでしょう。

多くの人が「権利を行使したい」ということより、「できるだけ気持ちの良い環境で働きたい」という思いを持っています。そのため、権利として守られていることでも声高に主張することはハードルが高くなります。

同様に、女性のエンパワメントといってもそれを主張するのが難しい環境というのもあるでしょう。しかし、当事者意識を持っていれば環境が変わっていこうとする流れを敏感に感じることができるようになります。女性のウェルビーイングのためには、まずは意識を変えるだけでも大きな一歩です。

自分に何ができるか、ということだけを考えてしまうと、知らずしらずにできることの中から選んでしまい、自分の可能性を狭めてしまうことがあります。自分がどうありたいかということを考えてみてください。