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【体験談】不妊治療を経て初めての陽性から流産まで | Marbera

Marbera運営事務局

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2021/04/14

二人目不妊で不妊治療を開始した理由

筆者が不妊治療専門のクリニックに通院するようになったのは、第一子出産から一年半が経過した頃でした。もともと第一子を帝王切開で出産したため、妊活の再開には1年開けるようにと言われていました。しかし、それから半年間妊活をしても妊娠に至ることはなく、夜間授乳などもあり思うようにタイミングを取ることも難しいため、効率的な方法を求めて不妊治療専門のクリニックに通うことにしました。

当初は妊娠や出産を経て排卵のバランスが崩れているかもしれないと思い、効率的にタイミングを取りたいと考えたことが通院のきっかけです。しかし「念の為」と医師から勧められ、タイミング指導と並行して検査をしてみたら重度の男性不妊であることが発覚。不妊治療の中でも最終ステージとされる「顕微授精(IVF)」でしか妊娠の望みはないと告げられました。

検査結果をもとに何度も夫婦で話し合い、予算や期間の制限を決めた上で顕微授精に挑戦することを決め、通院生活が始まりました。

初めての採卵から移植まで

顕微授精に挑戦すると決めたとき、私は既に36歳。35歳を超えると顕著に妊娠率が低下していくため、診断から2ヶ月後には採卵のための投薬が始まりました。

幸い私自身の検査では何も問題がみつからず、年齢的な問題はあるにせよ顕微授精であれば十分に妊娠する可能性があるだろうと考えていました。金銭的な問題も、調べてみると費用負担が大きいのは主に採卵だということがわかり、更に、女性側に問題がない場合36歳であれば治療法によっては一度に複数の卵子を採卵することが可能だということもわかりました。

初めての採卵

最初の採卵では3個以上の卵子を採るため、中刺激法を選択。当時通っていたクリニックは基本的に胚盤胞移植を勧めていたため、採卵後は胚盤胞まで育ててから移植をすることに決定しました。

ところが、いざ採卵周期に入ってみるとなかなか卵子が育ちません。何はともあれ移植しないと先に進めない、移植さえできれば妊娠できるだろう、と考えていたこともあり、少ない卵胞数でも採卵に進むことになりました。そして、最初の採卵では2つの卵子を採取することができました。

通院のたびに打つ筋肉注射が痛かったこと、仕事と育児、通院の調整がとても大変だったことが大きな負担でした。

初めての移植

なんとか2つの卵子を採取したものの、胚盤胞になったのはひとつだけ。調べてみると、胚盤胞が少ない場合は移植に進まずに採卵を続ける人が多いことを知りました。たとえば不妊治療によって複数回の出産を視野に入れている場合などは、一人目の出産によって約一年が経過してしまうため、少しでも若いうちに卵子をとっておくほうが良いことはわかりましたが、我が家はもうひとり出産するところまでしか考えていません。そのため、今ある胚盤胞で妊娠するかもしれないのに、たくさんの費用をかけて胚盤胞をいくつか用意する必要性が感じられず、そのまま移植に進むことにしました。

さらに、移植には様々なオプションがあり、オプションに関しては体外受精の説明会や資料で確認することができました。けれども通院していたクリニックではオプションについて医師から個別の説明はなく、実際自分にはどの程度効果的なのか、どれを選択するのが理想なのかは手探りな状態。少しでも妊娠率を上げるため、費用負担の少ないものからいくつかのオプションを選択しました。

初めての顕微授精の結果

採卵や移植までに投薬があるのは想定していましたが、移植の後にも経口薬や膣剤、貼り薬などが続くということは知りませんでした。もちろん事前に体外受精の説明会で一通りの流れを聞いていたのですが、採卵や移植、その後のことなど、内容が多岐に渡るためすべてをしっかり理解できていなかったように感じます。実際には手探りな状態で治療をスタートし、治療が進むにつれて理解を深め、自分がもっと知るべきことが何なのかということを見つけていくという日々でした。

そして、残念なことに初回の移植では着床に至らず。治療を始めたことで妊娠に向けて大きな一歩を踏み出したと思っていたせいで、落胆して涙が止まりませんでした。

初めて陽性判定が出た3度目の移植

初めての移植で陰性判定を受け、その周期でまた採卵準備に入りました。しかし、原因はわからないもののやはり卵子がうまく育たないことが多く、投薬を続けては採卵キャンセルの繰り返し。注射や通院の負担がなんの結果にも結びつかないことは、精神的にも疲弊していきます。自身の引っ越しなどの都合でこれまでのクリニックには通院しにくくなり、気分転換のためにも転院をしました。

転院先のクリニックでは新鮮胚移植を勧めていて、複数の卵子が採卵できた場合には残りを胚盤胞まで育てるという方針。また、以前のクリニックでは採卵時に静脈麻酔を使用していましたが、転院先では局所麻酔での施術など、クリニックによってここまで方針の違いがあるということも初めて知ることになります。

こちらのクリニックでの初採卵でも、やはり得られた受精卵はひとつ。その受精卵を新鮮胚移植することになりました。

初めての陽性判定

胚盤胞移植のほうが成績が良いというのが最近のトレンドでもあり、新鮮胚移植には少し不安もあったものの、今までと違うアプローチがしたいという希望があったので納得して新鮮胚移植に進みました。そして、結果的にこの移植で初めての陽性判定をいただくことになります。最初の移植から9ヶ月が過ぎていて、体外受精でも自分は妊娠できないのではないかと諦めかけていたため、とても驚いたことを覚えています。

しかし、血液による判定の結果、妊娠を判断するhCGの値がとても低く、医師からは「着床はしているけれど、おそらくこのまま生理が来てしまうだろう」と告げられました。経過を見るために、投薬と5日おきの通院が続くことになり、医師の見立てとは反対にhCGの数値は少しずつ伸びていきました。

子宮外妊娠かもしれないとも言われましたが、その後無事に胎嚢が確認され、心拍が確認され、と段階を経て正常な妊娠であることがわかります。けれどもいずれも想定より一週間ほど遅れていて、8週目までの5回の通院では一度も順調と言われることはありませんでした。

毎回検診の度に、もうダメかもしれないという思いがあり、初めての陽性判定でも明るい気持ちにはなれずつらい毎日だったというのが現実です。

流産の判定

妊娠では、心拍が確認できるまでがひとつの壁といわれることがあります。そのため、心拍が確認できたことは私にとっても大きな一歩でした。しかしこの時点で心拍は通常よりもだいぶ弱く、心拍が止まってしまう可能性があることも告げられていました。

そして8週目の検診の際、胎児の心拍が停止していることがわかりました。ずっと心の準備はしていましたが、涙が溢れて止まらなくなり、検査室からなかなか出られませんでした。

お腹の中に胎児はいるものの成長が止まってしまうことを稽留流産といいます。体内から摘出するための手術を勧められましたが通院先のクリニックでは手術の対応をしていないため、近くの産婦人科への紹介状をもらい、そちらで手術をすることになりました。

稽留流産の手術

不妊治療のクリニックから紹介された病院の初診では、念の為再度エコーによる確認がありました。やはりこちらでも心拍は確認できず、手術を受けることに。手術の方法や病院の方針によっても異なりますが、私が受けた吸引手術自体はもちろん麻酔もあるため痛みを感じることもなく、術後に1時間程度ベッドで休む時間を入れても3時間程度で終わり、入院の必要もありません。

手術直後は重い生理痛のような痛みがありましたが、電車に乗って帰宅するのも問題はない程度でした。

不妊治療再開まで

稽留流産の手術後は、3回生理を見送ってから不妊治療の再開可能というのがクリニックの方針であり、それまでは治療をお休みすることになります。このとき初めて、いわゆる貯卵といわれる、胚盤胞をいくつか採取しておく必要性を感じました。特に35歳を過ぎての治療では1ヶ月の間にさえ卵巣や子宮、卵子の老化が進んでいきます。3ヶ月何もできずにまた採卵から始めるのはデメリットが大きいようにも感じました。

説明を受けた際には早る気持ちもあったものの、流産による精神的なダメージは想像以上。特に手術直後の数週間は一日中泣いているような日も珍しくなく、1年以上ぶりに通院がない毎日がとても楽でもあり、初めてもう治療を辞めようかと考えるようにもなりました。SNSで同じような状況の人と励まし合ったり家族のサポートがあったりという中で、ゆっくりとメンタルも回復していき、3ヶ月後にはまた治療に挑戦したいという気持ちが湧くようになりました。

流産というつらい経験を乗り越えて

体外受精を経て稽留流産を経験したことは、私にもパートナーにもとてもつらいことでした。もちろんまだ小さい命とはいえ、子供を亡くしてしまったということは誰にとってもつらいことです。そして、現実的には高額な費用、大きな体への負担、家族にかけてきた負担など、そのすべてがこの結果にしか結びつかなかったと思うことがつらい気持ちをより一層大きくしました。また、実際に術後の私を見て、パートナーはこれ以上私に負担をかけないように治療を辞めたいとも言いました。

不妊治療では、残念ながら誰もが絶対に妊娠できるとは限りません。そして、妊娠できたからといって出産に至るとも限りません。

妊娠を目指していた私にとって、妊娠がゴールではないと強く感じる経験でもありました。それと同時に、治療をしているか否かに関わらず、妊娠の15%は流産という結果になるともいわれています。病院で妊娠判定が出る以前の化学流産も含めると、15%以上になるということです。

それだけ多くの方が実は流産というつらい経験をしていることや、無事に出産できるということがどんなに奇跡的なことかということを改めて知ることになりました。

不妊治療や流産判定の後の治療方針、治療内容は病院によっても大きく異なります。それを踏まえた上で、流産判定を受けて不安を抱えている人や、流産後に孤独感を感じている人はひとつのケースとして参考にしてみてください。

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