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独身でも気になる将来の妊娠。ブライダルチェックのススメ | Marbera
Marbera運営事務局
2021/05/12
昔に比べて男女ともに初婚年齢が上がっているという話を聞いたことがある人は多いはずです。厚生労働省による実際の統計を見てみると、女性の平均初婚年齢は1989年時点で25.8歳だったのに対して、2019年時点では29.6歳と、この30年間でおよそ4歳の開きがあることがわかります。
妊娠をきっかけに結婚する夫婦も増えましたが、一般的には妊娠を結婚後のプランに入れている人も多く、仮に29歳で結婚したとすると妊娠や出産が30歳を超えることは珍しいことではなくなりました。しかし、女性の年齢は妊娠と直接的に関係しています。医師のなかには、女性の年齢が20代後半に差し掛かると、妊娠しやすさは年々減少していくと言う人もいます。
このような背景から、最近では順調な妊娠を目指して結婚するブライダルチェックを受ける人が多くなりました。実は結婚の予定がなくても受けられるブライダルチェックについて、詳細をお伝えします。
いつかは子供を産みたい…と少しでも考えているのであれば、ぜひ読んでみてください。
ブライダルチェックとは
ブライダルチェックというのは、女性が受診する、主に婦人科系の様々な病気などがわかるヘルスチェックのことです。欧米に比べて日本の女性は定期的に産婦人科を受診する機会が少ない傾向があります。日本では「産婦人科=妊娠に関することでかかる病院」と考えている人や、産婦人科に行くことを恥ずかしいことと考える人が多いのも、その原因のひとつと考えられます。
しかし、たとえば生理痛や生理不順といった月経関連のトラブルに10代の頃から悩んでいる女性もいます。本来は一般的な内科と同じように、信頼できるかかりつけの婦人科があるということが理想です。
中には婦人科にかかる機会が少ないせいで、治療可能な病気や慢性的な不調を見逃していることもあります。だからこそ、妊娠経験がない女性にもおすすめなのがブライダルチェックです。
ブライダルチェックでわかること
ブライダルチェックは、主に婦人科系の機能や病気を調べる検査です。詳細は後ほどご説明しますが、子宮や卵巣の状態、ホルモンバランス、性感染症の検査など複数の項目があります。
性感染症の中には自覚症状がほとんど出ない病気や性行為以外でかかる病気もあります。そのため、いつ罹患したか全く心当たりがないまま、ブライダルチェックで罹患が発覚することがあります。自覚症状はなくともパートナーにうつしてしまったり、場合によっては不妊や胎児への感染を招くこともあるものです。
また、女性の年齢が進むと妊娠力が落ちるということは既に説明しましたが、なかには何らかの病気や体質的な問題で、若くても子宮や卵巣の働きが弱かったり、ホルモンバランスが崩れているという人もいます。この場合は、年齢に関わらず不妊や体調不良の原因になります。
ブライダルチェックでは、女性のこうした不調やトラブルが発見できる可能性があります。
結婚の予定がなくても受診可能
ブライダルチェックは、必ずしも「妊娠」に関することだけを調べるわけではありません。けれども一般的には結婚に際して妊娠を強く意識するようになるからこそ受診する女性が増えるため、このような検査を「ブライダルチェック」と呼ぶようになりました。
しかし、ホルモンバランスや卵巣の働きは月経に影響を与えることもあり、月経に関するトラブルがみつかることも多々あります。実は、ブライダルチェックは今すぐ結婚する予定がなくても、もちろん既に結婚している女性でも受けることができる、いわゆる人間ドックの婦人科に特化したものと考えてください。
いますぐには結婚や出産の予定がなくても、月経関連の悩みがある人や、20代後半に差し掛かろうという人は一度受診してみても良いでしょう。ただし、ホルモンバランスや子宮、卵巣の状態は年齢とともに変化していくものでもあります。たとえば子宮がん検診などで想像してみてください。一度受けたことがあるからといって、永久的にがんにならないわけではない、ということはわかりますよね。
これと同様に、一度ブライダルチェックを受けたことがあっても、それから長期的な時間が経過してから妊娠を希望するのであれば、再度検査を受けることも考えてみましょう。
ブライダルチェックの詳細
では、実際にブライダルチェックはどこで受診できて、どのような検査をするのでしょうか?ここではブライダルチェックについて、さらに詳しく説明します。
ブライダルチェックはどこで受けられる?
ブライダルチェックは、不妊治療専門のクリニックや婦人科で受けられます。ブライダルチェックとしていくつかのプランを用意している婦人科も多く、どのプランを選べば良いのかわからないという人でも、プラン内容の細かな違いや特徴を、公式サイトや資料などで確認することができます。
このように、ブライダルチェックとしてプランを設けている病院なら選択しやすく、受診の比較的ハードルが低い印象を受けます。ブライダルチェックを機にかかりつけの婦人科を探すつもりで、立地や設備などを鑑みて、自分にとって通いやすい病院を探してみてください。
検査の詳細な内容は?
ブライダルチェックの検査項目は、病院によって異なるだけでなく、さらにそのプランによって異なる場合もあります。下記はその一例なので、これを参考に実際にブライダルチェックを検討している病院でどんな検査が受けられるか事前にしっかり確認しておいてください。
ウイルス感染
- 風疹抗体価(HI):体内に風疹の抗体があるかどうかを確認します。妊娠中に風疹にかかると胎児に感染する可能性があるため、抗体がない場合は予防接種が勧められます。
- ムンプス抗体(HI):代表的なものはおたふく風邪の原因となる抗体です。妊娠中に罹患しても胎児異常などはないと考えられていますが、妊娠初期にかかると初期流産の原因になる可能性があります。
性感染症
- クラミジア(PCR):症状がほとんど出ない性感染症のひとつです。感染に気が付かないまま出産すると産道で胎児に感染する可能性があります。また、不妊や子宮外妊娠の原因にもなり得ます。
- 淋菌(PCR):妊娠中に淋菌感染に感染すると、卵管や子宮内膜に炎症を起こし早産や流産の原因になります。しかし、基本的には症状が出やすいため、妊娠初期から妊婦健診を受けている人であれば、妊娠前の罹患に気が付かないまま妊娠に至ることはめったにありません。
- トリコモナス:主に性行為によって感染する性感染症ですが、妊娠中に罹患しても胎児や出産に影響が出ることはありません。
- カンジダ:性感染症のひとつではあるものの、ストレスや疲れなどが原因で自然発生することがあるものです。妊娠中に免疫力が落ちることで繰り返し罹患することもあります。
- 梅毒反応(RPR,TPHA):性感染症の中でも症状が出やすく、そもそも罹患数が大幅に減少している病気です。しかし、妊娠中の感染では胎児に最も影響しやすい病気でもあります。
その他の感染症
- トキソプラズマ抗体:ペットの糞便や加熱不十分な生肉を食すことが原因で感染するものです。基本的には症状がなく、しらないうちに抗体ができているという人も多いのですが、妊娠中に罹患すると胎児先天性異常の原因になります。
- HIV抗体検査:HIVの検査です。日本では検査を受ける人が少なく、エイズ発症まで時間がかかることもあるため、いつ誰から感染したのかわからないうちに感染していたという例も少なくありません。妊娠や出産に影響するだけでなく、早期発見と早期治療が推奨される感染症です。
- HTLV-I(ATLA)抗体:主に授乳や性行為によって感染する感染症であり、白血病の原因となります。妊娠前に抗体の有無を知ることで、授乳による胎児への感染を防ぐことができます。
- B型肝炎、C型肝炎:肝臓の炎症を引き起こす肝炎ウィルスの有無を確認します。
ホルモン関係の検査
- ホルモン検査:血液検査によって、様々なホルモンの分泌量を検査します。ホルモンバランスが崩れていると、慢性的な体調不良や月経トラブルなどの原因になることがあり、更には早期閉経や不妊に影響する可能性もあります。
- AMH:抗ミュラー管ホルモンと呼ばれるもので、ホルモンの中でも妊娠に大きく影響するものです。そもそも年齢とともに減少していくものではありますが、AMHが低いからといって必ずしも妊娠しにくいわけではなく、逆にAMHに異常がないからといって妊娠しやすいというわけではありません。いつか卵子になるものが体内に残っているのか、どのぐらいの期間妊娠の可能性があるのか、ということを知る目安になります。
その他
- 貧血
- 糖尿病
- 子宮頸がん
- 子宮や卵巣の超音波検査:子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫などを発見することが可能です。生理痛が重いことを体質の問題だと考えて我慢している女性は多いですが、実際には子宮筋腫や子宮内膜症が原因となっている可能性が多いにあります。生理痛や月経時の出血過多以外にも、不妊の原因となることもあります。
- 甲状腺機能:甲状腺疾患は男性より女性に多い傾向があるものの、更年期障害や慢性的な体調不良のような症状から甲状腺異常であることに気がついていないことが多々あります。重度の甲状腺疾患は妊娠中に胎児への影響を及ぼすこともあるため、投薬によってのコントロールが推奨されます。
- 排卵確認:きちんと排卵しているかの確認です。基本的に生理周期が安定している人では排卵障害の可能性が少ないと考えて良いのですが、そもそも卵子が育っていない、育っていてもうまく排卵できない「排卵障害」をみつけるための検査です。
検査の費用はどれぐらい?
ブライダルチェックの費用は、簡易的なものであれば15,000円程度、細部まで調べるものであれば50,000円程度と考えてください。基本的にはその検査項目数によって大きく異なります。もちろん中には他の検査に比べて費用がかかる検査もあるため、検査内容も関係しています。また、検査に際して自治体から検査費用の助成がおりるもの、保険適用内で検査できるものなど、項目によって異なります。
どの検査をどの程度の頻度で受けるべきかなどとも合わせて、自分に必要な検査を選択しましょう。
ブライダルチェックで異常が見つかった場合
ブライダルチェックで異常が見つかった場合でも、すぐに治療が必要なものもあれば、経過観察となるものもあります。たとえばがんや感染症が見つかれば治療をする必要がありますが、ホルモン数値が年齢に比べてわずかに低い、といった場合には病気や内臓機能の障害が原因なわけでなく、体質やストレスが一時的に影響している場合もあります。
いずれにせよブライダルチェックを受けた病院で治療にあたるか、治療可能な病院を紹介してもらうことができます。そのため、ブライダルチェックの費用だけで病院を比較するのではなく、診療実績なども含めて検討するのがおすすめです。
ブライダルチェックは自分をいたわる大事な検査
ブライダルチェックは、女性であれば誰でも受けられるものであり、婦人科系に特化した人間ドッグのようなものです。独身の女性や妊娠前の女性に推奨されるのは、検査項目の中には妊娠中の妊婦健診で必須項目となっているものと重複する箇所があるからです。
子宮や卵巣の異常はわかりやすい症状が出るものばかりではなく、健康のためにもいつかの妊娠のためにも、早期発見が非常に重要になります。
ブライダルチェックを結婚するための検査と思うのではなく、女性が自分の体を知るための大切な検査だと理解してください。そして、項目によっては年に一度の定期的な検査が望まれるものもあるため、ブライダルチェックの際には次の検査についても医師と相談してみましょう。
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