- 妊活・不妊治療
妻のメンタルのアップダウンに不安が募る・・。不妊における妻の気持ちってどんな気持ち? | Marbera
Marbera運営事務局
2022/12/16
妻のメンタルのアップダウンに戸惑い、ご自身も滅入ってしまうという男性も多く見受けられます。
妻の不妊における妊活中の心理状態を知っていると少しその不安は軽減できるかもしれません。
今回は、女性側の心理をしっかり学んでいただき、少しでもお互いがストレスが軽減された気持ちで妊活に取り組めるように通院できるように、精神的にも肉体的にも負担が多い妻をサポートしてくださいね。
『結婚という形をとり、家庭を築き、やがて子どもが生まれて親になる。』
何となくそうなるだろうと誰もが思い描いているのではないでしょうか。
もちろん、その望みが強い方もいれば、そこまで意識していない方もいます。
自分の中にある漠然とした「子どもを持っている自分の人生」を「生殖ストーリー」と呼びます。これは、幼少期から成長する過程でなんらかの家族のイメージや理想像が備わっているという概念のことを指します。
これは中学校から高校へ進学するのと同じくらいに自然なものとして、無意識の中で思い描いていると言われています。
ですが、年月が過ぎ、結婚して、子どもを望んだとき、なかなか赤ちゃんが授からない状況になって初めて子どもに対する希望や気持ちを意識していきます。
この気持ちは、決して特別なものではなく、誰もがそう考えてしまうものです。さらに、そこからクライシス(危機)の心理をもたらします。教科書的な説明になってしまいますが、以下のように変化していきます。
- 驚き(ショック):「まさか、私に原因があったんだ…」「5~6組に1組の確率って言われたけどその1組?」など、驚きと、やっぱり…というような落胆によるショックを感じている方もいます。
- 否認:「これは、私のことじゃない」「たまたまできないだけで、きっともうすぐ…」と否定したい気持ちが働くことがあります。人間の心は、強い衝撃を受けると、自分で自分の気持ちを守ろうとします。当たり前の反応です。
- 怒り:「なぜ、私たちだけこんな思いをするの?」家族や友人からの心無い言葉や、痛みを伴う検査や治療から、この気持ちが起きることもあります。時には医療者や、パートナーであるあなたに向かうこともあります。
- 孤立:「誰にも言えない」「子どものいる友人とは会いたくない」など、自分たちだけと感じてしまいます。こんな気持ちを受けとめてもらえないと、「夫はわかってくれない」と絶望的に感じる方もいます。
- 自責の念:「夫に申し訳ない…」という気持ちにいつも支配されてしまうことがあります。また「私と結婚しなければ子どもがいただろうな…」とか、「いつも子どもなんかうるさい!って言ってたから罰が当たったのかも」と、普段は信仰している宗教もないのに、そんな風に考えてしまうこともあります。
- 悲嘆:悲嘆とは喪失にともなう感情です。なかなか人に言えない不妊という状態。しかも、必ず妊娠できるわけではなく、どうなるか先も見えず、とてもあいまいな状態です。そんな状態の中、月経が開始することは、生まれる予定だった赤ちゃんを亡くしたのと同じくらいの気持ちになります。しかし、目に見える存在ではないため、周囲の人には理解されにくく、悲しみの感情を分かち合ってもらうことが難しい状態です。
- 解決:クライシスのゴールが解決です。医学的な解決は、妊娠・出産になりますが、誰もが必ずそうなるわけではありません。たとえ子どもが授からなかったとしても、その人なりの解決のプロセスがあります。
このプロセスは、誰もが同じ順番に全てを経験するわけではなく、その人によって違います。これが良くて、これが悪いということではなく、こんな気持ちになるのは当たり前のことで、こうなっていいんだ…ということを知ってほしいのです。
そしてその思いや感情は溜め込まず、吐き出していいということも知っていてほしいです。これは、男性が不妊の原因だった場合でも、両方に原因があった場合でも、同じプロセスをたどります。お互いを思い合うって大事ですね。
女性が治療を受ける際、どんな時にどんな気持ちになるかを知ろう!
何度も何度もプライベートゾーンを晒すことのストレス
そもそも、女性は通院すること自体が大きなストレスなのです。何といっても、診察される部位。最近の性教育では、プライベートゾーンと伝えておりますが、パンツの中の診察です。誰もがハードル高く感じます。
しかも、それが月経に合わせての通院になると、なおさらです。場合によっては月経中の診察もあります。
不妊検査や治療では、月経周期によって子宮内膜の様子、卵巣の様子が違うので、超音波検査での診察が必要になります。私たち医療従事者にとっては当たり前のことでも、受ける皆さまにとっては緊張しますし、時には痛みを伴う不快な検査でしかないですよね。
まずは、男性側にそこを理解してもらえるだけで、嬉しいです。
通院することによるストレス
現在のカップルは共働きがほとんどですので、働きながらの通院があたりまえのような状態です。
この通院においても、月経周期が絡んできます。毎月妊娠のために体がリセットするのが月経です。
その始まりは、「この日に絶対!」と確定できません。仕事をしている方は、おおよその予測をして予定を組まないと、通院ができないこともあり、そうなるとその周期の検査や治療ができない場合も出てきます。
急な休暇の申請や、その理由を会社の上司や同僚に伝えることもストレスになります。「今月はなんて言おうかな…」いつもそんな事ばかり考えてしまいます。帰宅後の妻の様子をみて、「何となく元気がない」とか「何か話したそうにしている」など、いつもと違う様子を感じたら、「今日、なんとなく元気がないけどどうしたの?」と尋ねてみてください。
そこで、話がもし始まったら、ちゃんと聞いてあげましょう。
答えを出そうとか、何か解決策を考える必要はありません。(もちろん、話す内容によっては解決策が必要な場合もありますが…)とにかく「聴く姿勢」が大事です。その日に起きた出来事、辛かった思い、悔しかったこと、どんなことでも話すだけで気持ちが楽になることがあります。
治療中の薬の副作用での体調不良や精神的なアップダウンも
また、治療中に使用する薬の副作用で体調が悪くなることもあります。たとえば排卵促進剤の服用は、あまり大きな副反応はないと言われていますが、個人差があり頭痛を感じる方もおります。
その他の薬でも、だるさやむくみ、精神的にイライラするなどの反応が起きることもあります。本人が気づいていない場合もありますので、「今日はちょっとイライラしてるね。」と教えてあげるのもいいかもしれません。
もちろん、治療に入る前に想定されることとして、二人の間で「こんな状態の時は、お互い伝え合う」というルールを作成するのが良いと思います。そして、可能な限り家事はふたりで分担しましょう。
最近の内閣府の調査によると、共働きの主婦が行っている家事の労働評価は、年間約250万円分の価値があるともいわれています。別の調査ではそれ以上の報告もあります。それほど大変な家事に対し、まだまだ家事=女性という考えが根強いのも現実です。女性は月経中だけでなく、月経前にも不調を感じることが多いです。
そんな時、仕事はなかなか休めなくても、家事はお休みしたいと思うもの。食事のあとの食器洗いやお洗濯をしてくれると、それだけで気持ちが楽になります。(男女共同参画白書(概要版)平成30年版)
これだけは絶対に言ってはいけないNGワード、「好きにしていいよ」。
不妊検査や不妊治療は、女性が主体で検査や治療を受けることが多いです。とはいえ、やはり夫婦の問題なので、一人では決められないものです。
どんな小さな検査でも、あなたの妻が悩んでいたら、まずは話を聞きましょう。
もしかしたら、検査が痛いのではないかという不安から、検査を受けることを躊躇しているのかもしれません。
検査の結果が不妊の原因だとわかったときの気持ちを考えると怖いから受けたくないなど、いろんな思いがあります。
言葉に出すだけで、話を聴いてもらっただけで、安心して検査や治療を受ける決心ができるかもしれないのに、「好きにしていいよ。」のひと言で、「なんで私だけが…」という思いが強くなるものです。
「なんで私だけが痛い思いをするの。」「なんで私だけが恥ずかしい思いをするの。」「なんで私だけが仕事を休んで病院にいかなければならないの。」
そんな思いが強くなり、夫婦関係が悪くなったカップルも多くいらっしゃいます。
妻の気持ちは、夫にしっかり受け止めてもらえると、安心して検査・治療を受けることができ、ストレスが軽減します。
男性側の検査や治療は、女性と比較すると、回数でも内容でも苦痛の量は少ないです。
どうぞ、これまでのお話をしっかり理解し、治療も検査も一緒に受ける!くらいの気持ちで、愛する妻をサポートしてくださいね。
とはいえ、男性側も心を痛めてつらい思いをしている方もいらっしゃると思います。その時は、ぜひ無理をせずに私たち専門家を頼ってくださいね。夫婦カウンセリングもおこなっています。
監修:不妊症看護認定看護師 阿部
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