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【体験談】不妊治療から妊娠、出産までの記録① | Marbera
Marbera運営事務局
2021/05/26
体外受精を経て妊娠した筆者の体験談
筆者は一人目を自然妊娠で授かり、大きな問題もなく出産しました。しかし、二人目不妊という壁に直面し、2年4ヶ月の不妊治療の後に体外受精にて妊娠、現在に至ります。
妊活や不妊治療を続けていると、自分は妊娠できないのではないか、体外受精で妊娠した人なんてよほど幸運なんじゃないか、とふさぎ込んだ気持ちになることもありました。今そんな気持ちで治療と闘っている人に、私の体験談をお伝えします。
一人目の妊娠で悩んでいる方には、二人目不妊は贅沢な悩みに見えるかもしれません。しかし、子供を持つことを目指す人にとって、妊娠は決してゴールではなく無事に出産することこそがゴールです。けれども、不妊治療の病院を卒業してからのことがわからず、せっかく陽性が出てから慌てて準備をしなければならないという悩みもたくさん聞きました。
不妊治療から出産に至るまでの経緯は、一人目不妊で悩んでいる方にも参考になるのではないでしょうか。
最後の体外受精に至るまで
先述のように、私は34歳のときに長男を自然妊娠し、出産しました。子供を持つことを考えてから妊娠までの時間が短かったこともあり、自分がまさか不妊に該当するとは思ってもいませんでした。
しかし、二人目を考え始めたときすでに35歳を超えていたため、念の為受けた不妊検査で男性不妊が発覚。通常ならタイミング法、人工授精とステップを重ねる人が多いなか、高度不妊治療の中でも最終手段である顕微授精でしか子供は望めないだろうという診断を受けることになったのです。
不妊治療のこともほとんどわからず、ましてや体外受精というのは採卵に至るまでの卵巣刺激方法もいろいろあり、自分が何を理解すべきなのかも全くわからないという状況からのスタートです。
病院選びにも悩みました。幸い会社から5分で行ける場所に体外受精で実績のある有名クリニックがあり、普段は初診の予約をするにも何ヶ月も待つという噂でしたが偶然スムーズに予約が取れたため、そちらのクリニックに通うことになりました。
2度の体外受精に挑戦
体外受精は採卵から移植までをトータルで考えると、一度移植をするために50万円から100万円という高額な費用がかかります。どれだけ子供を切望していても、現実的にはかけられる費用にも限度がありました。体外受精では多くの場合、最も費用がかかるのは採卵です。一度の採卵で複数回分の受精卵を作ることができれば、移植自体は10万円から30万円程度で、方法によっては毎月移植に挑戦することも可能です。
しかし私の場合、検査では原因がわからないにも関わらず、卵巣の刺激方法を工夫してみても卵胞が育ちにくく、一度の採卵で1~2個、さらには卵胞の育ちが悪くて採卵がキャンセルになることも続きました。そのため、2度の採卵、2度の移植を終えるまでに1年間もかかってしまいました。
いずれも結果は陰性。この頃にはメンタル面での悩みを共有するためにSNSを活用するようにもなっていて、不妊治療では結果を求めて病院を転院する人が多いことも知りました。同時期に会社が移転する都合で当初のクリニックには通いにくくなったため、大きな不満はないものの家から最寄りのクリニックに転院しました。
転院後の初移植で陽性
当初のクリニックでは、胚盤胞をホルモン補充周期で移植するのが基本的な方針でした。現在では多くのクリニックが実績に基づいてこの方法をとっています。しかし、今までとは少しでも異なるアプローチをしたいという考えから、転院先のクリニックでは新鮮胚を移植することにしました。
その結果、転院後の初移植で初めての陽性反応。ところが心拍確認までは順調だったのですが、9週での流産となってしまいました。クリニックの方針で治療再開まで3回生理を見送ることになりました。焦る気持ちはあったものの毎日の注射など、仕事や育児とスケジュールをあわせながらの治療に疲れていたこともあり、治療をお休みしている期間はこれからの不妊治療についてゆっくり考える良い機会にもなりました。
最後の採卵
3ヶ月治療を休んでいる間に夫婦での話し合いをし、あと一度採卵をして不妊治療を終了しようということに決めました。
今まで体への負担も考慮して中刺激という方法で卵巣を刺激して採卵に挑んでいましたが、最後ということでなんとか卵胞を多くとりたいと考え、高刺激法にチャレンジすることに決めました。今までは採卵までに3回ほど筋肉注射をしてきましたが、高刺激法では一週間以上毎日注射に通う日々。それでも採取できた成熟卵は3つ、顕微授精によってそのうち2個が胚盤胞になりました。
翌月そのうちの1個を移植しましたが、やはり陰性という結果に終わりました。
最後の移植
残る胚盤胞はあとひとつ。
多くの病院では様々な基準に基づいて胚盤胞を評価しています。私が通っていたクリニックではガードナー分類というものを採用していて、残っている胚盤胞は4CCというグレードのものでした。
実は4CCの胚盤胞はグレードとしては良いものではなく、移植に向いていない胚盤胞として凍結基準に満たず破棄してしまうクリニックも多いほどです。そのため、自分の中ではもう妊娠はできないものだと諦めていました。
最後の移植は、やはり今まで一度も試したことがないという理由で自然周期での移植を選択しました。
陽性判定から不妊専門病院の卒業
驚くべきことに、結果的にはこの4CCの胚盤胞移植で陽性判定をもらうことができました。しかし、これで治療が終了というわけではありません。
陽性判定が出てからも1週間ごとに通院し、血液検査によってホルモン数値を測定し、それに合わせて必要なホルモンを補充しました。体外受精では自然妊娠に比べて妊娠を継続するために必要なホルモンの分泌が少し遅くなることがあり、自力で十分なホルモンを分泌できるようになるまで薬でホルモンを補充し続ける必要があるからです。
胎嚢確認、心拍確認と順調に進むものの、わずかにホルモン数値が基準に満たない日々が続き、結果12週まで不妊治療のクリニックに通うことになりました。
産院選び
さらに、頭を悩ませるのは産院選びです。産婦人科や総合病院で不妊治療をしている方は別ですが、不妊治療専門の病院には産科がないことも珍しくありません。さらに、私の住む東京では希望の産院を選択しようとすると5週目ですでに産科の予約がうまってしまうことさえあります。もちろん受入人数を限定していない病院もあるのですが、希望の条件に合わなかったり通いにくい距離になってしまうこともあります。
しかし、一度流産を経験している立場では、ある程度の自信が持てるまで産院の予約をする気持ちにもなれませんでした。特に第一子を出産したのは人気の産院なため、同じ産院での出産を希望する私にはいつ産院の初診を受けるかというのは悩みどころです。
8週目で二度目の心拍が確認できたとき、今後もしこの妊娠が継続できるのであれば、やはり安心して出産に挑めるようにと考え、勇気を出して産院の予約を入れました。幸運なことに8週でもまだ予約可能だったため、産院が決定しました。
安定期に入るまで
12週で不妊治療のクリニックを卒業しましたが、16週の安定期を迎えるまでは不安な毎日が続きました。喜びや楽しみという気持ちより、「また流産してしまうのでは‥」という思いのほうが大きく、病院に行く朝は緊張から気分が憂鬱でした。
母子手帳をもらい、不妊治療のクリニックを卒業し、安定期を迎えてようやく楽しみという気持ちが芽生えてきました。まだ不安が消えたわけではなく、純粋にポジティブな気持ちだけで過ごせないことを後ろめたく思うこともあります。しかし、不安な気持ちはこれまでの治療や流産というつらい時間を乗り越えてきた証だとも思うようになり、そんな自分さえも受け入れることで穏やかな気持ちで過ごせる時間が増えたように思います。
治療を卒業し、出産というゴールを目指して
不妊治療を続けていた2年4ヶ月という時間は、とても苦しいものでした。しかし、不妊治療をしていなければわからないこともたくさんありました。
また、治療をしながら理解していったこともたくさんあります。私の場合、最初の一年ぐらいはただただ言われるままに治療を進めていました。もちろん医師を信頼してすべてを任せるのも良いのですが、不妊治療にはまだ未知な部分も多く、医師によって方針も様々です。
必ずしも努力の末に結果が伴うというものではないからこそ、自分自身で情報収集をし、勉強を重ね、医師との相談の上で納得して治療を進めることが重要だと感じました。私の場合は4回目の移植ぐらいからようやく治療方針の希望を伝えられるようになり、だからこそ結果がどうなっても「これでやりきったと思えるだろうね」と納得して終了時期を決められたともいえます。
また、繰り返しになりますが、当事者にとって不妊治療のゴールは出産です。すべての妊娠は奇跡的なもので、妊娠期間の過ごし方や出産方法にそれぞれの理想があって当然です。ところが、治療が長くなればなるほど希望を持つことがつらくなっていき、妊娠したあとのことを想像しにくくなっていきます。陽性判定が出て不妊治療の病院を卒業したときには選択肢が少なくなってしまう、ということがないように、治療の先にある出産までをイメージし、出産に関する情報収集をしておくこともまた重要だと思います。
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