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不妊治療と仕事の両立が大変。困難なポイントや乗り越えるための方法 | Marbera
Marbera運営事務局
2021/02/17
不妊治療と仕事の両立に悩んでいる女性は多い
これから不妊治療を受けようと考えている人は、仕事との両立に不安を感じている人も多いのではないでしょうか?また、実際に不妊治療を受けている人で、仕事との両立がなかなかうまくいかずに困っているという人もいるでしょう。
実際、厚生労働省の調査によると、5.5組あたり1組のカップルは不妊検査含め何らかの不妊治療を受けていることがわかっています。昔に比べ、それほどまでに不妊治療が一般的になっているにも関わらず、不妊治療を受けていることをオープンにしている人は職場にどれほどいるでしょうか。
上記と同様の調査では、不妊治療を受けている男女で両立が困難ではないと回答している人は約13.4%。つまり、85%以上の方が何らかの形で困難さを感じているということです。また、34.7%の人は
- 両立できず仕事を辞めた
- 両立できず不妊治療を辞めた
- 両立できず雇用形態を変えた
と回答しており、たしかに不妊治療と仕事の両立は非常に悩ましい問題だといえます。
具体的に仕事の弊害となる5つのポイント
では、実際には不妊治療のどのような点が仕事を続けていく上での困難さに繋がっていくのでしょうか。特にこれから本格的に治療を開始することや、治療のステップアップで体外受精にチャレンジしようと考えている人は、事前に課題を把握しておくことで調整が可能な場合もあるでしょう。
もちろん治療内容や職場環境により困難に感じるポイントは異なりますが、弊害となりやすい5つのポイントをご紹介します。
通院回数の多さ
まず、通院回数の目安をお伝えします。これは通っている病院によっても異なるので、あくまでも参考と考えてください。
- タイミング法:1~2回程度
- 人工授精:2~3回程度
- 体外受精:採卵周期に4~10回程度、移植周期に4~5回程度
ちなみに、こちらは治療のみの通院を想定しています。中にはこの他に血液検査や卵管や子宮の検査を行うこともあり、さらに通院が増えることもあります。この中でも、特に体外受精では刺激の方法や卵胞の発育具合によって治療内容や通院頻度が変わるため、同じ人でも毎周期同じ通院回数になるとも限りません。
スケジュール調整の困難さ
不妊治療は、タイミング法であっても卵胞の発育状況に合わせて日程の微調整が行われることが多々あります。内診で発育状況を診た結果「明日ももう一度来てください」と突然言われることも珍しくありません。また、投薬の都合などで「必ず午前中に来てください」と来院時間の指示を受けることもあり、職場にあらかじめ通院の予定を伝えることができないだけでなく、出張などと重なってしまってその周期の治療を諦めざるを得ないこともあります。
突発的な通院でない場合でも、体外受精の採卵周期や移植周期には、まずは採血して血液検査を行い、最低でも1時間ほどたって血液検査の結果によって投薬内容を決めるというのも非常に一般的です。
そのため、採血自体には時間はかからないものの、1時間待ってまた再度診察を受ける、ということになります。さらに、不妊治療専門のクリニックが少ない地域や、人気の不妊専門クリニックでは待ち時間が3~4時間かかるということもよくあること。たとえ時間休などの制度がある職場でも、そもそも何時に戻れるかが把握できないという難しさがあります。
体力的な問題
不妊治療では、タイミング法→人工授精→体外受精の順に投薬の量が増えていくことが多いです。卵胞を発育させるための注射や子宮内膜を育てるための膣剤、その他飲み薬はホルモン剤が多く、副反応に非常に個人差があります。頭痛や腹痛、倦怠感などの肉体的副反応だけでなく、感情の起伏が激しくなるといったメンタル面に副反応が出るケースもあり、日常生活を送るだけでもしんどさを感じる人もいます。
また、通院先の病院が家や会社の近くにない場合、限られた時間の中で家、会社、病院と3箇所の行き来をすることになります。もちろん仕事以外にも家事や育児をしなければならない人も多く、これをすべてこなすというだけでも肉体的に負担がかかります。
周囲の理解が得られない
昔に比べれば、不妊治療の存在自体の認知度はだいぶ上がっています。しかし、当事者以外はあまり治療の内容まで詳しく理解しているわけではないことがほとんどです。治療の過程でどのぐらいの頻度で通院する必要があるのか、治療がどの程度体に負担がかかるということは、実際に治療を受けてみないとわかりにくいものです。
たとえば、治療をしていることを伝えても「前もって予定を決められないの?」と上司から度々確認されるという悩みを聞いたことがあります。その他にも、同僚から「そんなにお金をかけなくても、いつかできるのに」と言われてしまったという人もいます。
どちらの場合も、その上司や同僚は悪気があるわけではなく、理解が足りない故に出てくる言葉だといえるでしょう。
精神的なつらさ
上記のような悩みを抱えていれば、自ずとストレスがたまります。もちろん不妊治療を受けていることを職場の人に伝えられないという当事者も多く、休みの理由も伝えられないまま度々会社を休むことをストレスに感じているということもあります。
さらに、大勢の人が勤めている会社では妊娠や出産の話題が出るということも度々起こります。誰かの妊娠の話を聞いてつらく感じることもあれば、子供の有無やその予定などを聞かれて傷つくこともあるでしょう。
不妊治療と仕事の両立のためにできること
では、どんな工夫をすれば不妊治療と仕事の両立ができるのでしょうか。具体的な対策をいくつかご紹介します。
職場で理解のある人に話してみる
もしも職場に不妊治療中の人が利用できる制度があるなら、ぜひ積極的に利用してみましょう。不妊治療のための制度の代表例は特別休暇や金銭的支援ですが、このような制度を設けている企業はまだまだ少ないのが実情です。しかし、上司の理解を得ることで休みを取りやすくしてもらうなどの配慮が得られることもあります。
いままで職場の誰にも不妊治療のことを話したことがない人でも、理解のある人がいそうなら、まずは「検査に通っている」などの話から簡単にしてみても良いでしょう。もちろん直接の上司からの理解が得られれば一番良いのですが、関係的にもう少し距離感がある相手のほうが話しやすいという場合もありますよね。その場合は、人事部の人や他部署の人でも構いません。
誰かに話をするだけで気持ちが楽になることもあれば、仕事と不妊治療の両立のために協力的になってくれることもあります。
あらかじめ仕事との両立を考えた病院選びをする
不妊治療の病院を選ぶとき、多くの人がその実績を参考にするようです。もちろん、少しでも実績の良いところで治療を受けたいと考えるのは当然のことかもしれません。しかし仕事との両立を考えているのであれば、あらかじめ「仕事がしやすい」という条件も踏まえて病院選びをするという方法もあります。
実際に不妊治療と仕事を両立している人から聞いた、仕事をしていても通いやすいと感じているポイントをいくつか紹介します。
- 会社の近くの病院なので、採血や注射だけなら昼休みの間に済ませられる
- 治療を開始する前の検査や説明会で大体の待ち時間も確認しておく
- なるべく通院回数を減らしたい旨を伝えて自己注射にしている
- 電話やメールでの呼び出しサービスがあるクリニックなのでギリギリまで会社にいられる
- 遅い時間まで開いているクリニックなので仕事のあとにも通える
ただし、病院選びは重要なポイントでもあるので、何を優先して選ぶかはじっくりと考える必要があります。
不妊カウンセリングを利用する
不妊治療に関する専門知識をもつ、不妊カウンセラーという人がいるのをご存知でしょうか?不妊治療専門の病院や不妊治療をサポートする団体などが不妊カウンセリングを実施しています。不妊治療のつらさや悩みを相談できるだけでなく、たとえばステップアップを迷っている、というような専門的な相談も可能です。また、具体的な相談内容が思い浮かぶわけではなくても「なんだかもやもやする」「うまくいえないけど、とにかく何かがつらい」というような場合でも不妊カウンセリングを利用することは可能です。
病院やサポート団体以外にも、たとえば不妊をトータルでケアするコミュニティサービス「ベビmatch」には、オンラインで不妊カウンセリングが受けられるサービスもあります。近くで不妊カウンセラーを探すことができない場合や、あえて通っている病院以外の人と話したいという人はぜひ活用してみましょう。
仕事の内容を変えてもらう
これは不妊治療のことを職場にオープンにする前提にはなりますが、治療を優先した生活にするため、仕事の内容を変えてもらったという人もいます。プライベートを優先する上で、自分が気負わなくて良いように管理職のような責任のある立場から外れた人や、出張などが少ない業務内容にしてもらった、という人がいます。重要なポジションややりがいのある仕事を必ずしも手放さなければいけないというわけではありません。しかし、両立がつらくて仕事や治療のどちらかを選択しようとしているのであれば、仕事の内容を変えるという選択肢もあるということを思い出してください。そのほうが自分の気持ちが楽になる、一定期間治療に集中して後悔を残したくない、という人は検討してみても良いかもしれませんね。
不妊治療と仕事の両立は周囲の理解が鍵
時間的拘束や肉体的なつらさを考えると、不妊治療と仕事の両立は物理的にも簡単なことではありません。上司や同僚といった会社の人や家族の理解が得られれば、治療と仕事の両立はしやすくなります。
これは、必ずしも職場の人に治療のことを伝えなければいけないということではありません。不妊治療というのは夫婦双方にとってとても繊細な問題なので、話したくなければ話す必要はありません。不妊治療を受けている人の多くが両立しなければいけないのは仕事と治療だけでなく、家事や育児など家庭での役割。パートナーや両親など、家族の理解と協力を得ることで負担が軽減されることもたくさんあります。
自分の理解者がなかなか探せないようであれば、不妊カウンセリングなど外部のサポートも十分に活用してみましょう。
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