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【体験談】突然直面した二人目不妊。我が家の不妊治療が始まるまで | Marbera
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2021/02/14
突然発覚した二人目不妊。通院のきっかけは?
筆者は2017年8月に長男を帝王切開で出産し、1年後の2018年8月から第二子妊娠を目指すことになりました。しかし、私はこのとき既に出産前に勤めていた会社に時短勤務で復職していたため、育児、家事、そして仕事とすべてをしっかりこなすために疲れ果てていました。
主人は朝早くに出勤、土曜日も仕事なので月曜日から土曜日まで育児と家事はほぼワンオペ状態。私は初めての育児で段取りが悪い部分もあり、朝起きてから一通りの家事が終わる21時ぐらいまで、仕事以外で座る時間もないような毎日です。妊娠するためには積極的に夫婦生活を持つべきだということがわかっていても、体力的にもメンタル的にもあまり前向きになれないほど疲弊していたように思います。
そのため、第二子妊娠のためにより効率的にタイミングを取りたいと思ったことが産婦人科への通院のきっかけでした。最初の病院では問診により、一人目出産経験もあることからまずはしっかりタイミングをあわせるための治療を受けました。
原因はまさかの「男性不妊」
この4ヶ月の間に、私のホルモン状態を知るための血液検査や、卵管が詰まっていないか確認するための検査を受けるも異常はありませんでした。
医師からは「タイミングをとっても100%妊娠するわけじゃないから焦らずにいこう」とアドバイスをくれる一方で、「本当に時間があるときで良いと思う」と前置きをしながらも精液検査をすることを提案してくれました。
妊活や不妊治療では、精液検査の時点で男性が前向きに取り組んでくれない、という悩みを聞くことがありますが、幸いなことに我が家では第二子を希望する気持ちに夫婦で差はなく、主人も協力的でした。しかし私たち夫婦は、この時点でもまだ「不妊」という言葉がよぎることもなく、さほど大きな問題だとも思わずに促されるまま検体を提出してしまったのです。
男性不妊発覚に思わず涙が…
まさか男性不妊が発覚するなんて思ってもいなかったため、検査当日でも主人は病院に行かず、自宅で採取した精子を私が病院まで運びました。私は排卵の様子を見るための通院があり、その「ついで」ぐらいにしか考えていませんでした。
病院では検体提出から一時間後には結果がわかるため、一時間待ってから私が医師に話を聞きました。そして医師から驚いた様子で「これは、自然妊娠というのはまず無理だという数字。体外受精、しかも顕微授精じゃないと妊娠することはないと思う。」と告げられました。
そこから一時間。自宅の最寄り駅まで電車に乗っている間、涙が止まりませんでした。主人のほうがショックを受けるであろうこと、主人に同説明したらいいか、今後どうしたら良いのか、など、泣かずにしっかり考えなければいけないのはわかっていても、どうやっても涙が止まりませんでした。
家についても泣いている私に主人は驚いていました。「あなたの精子の状態では、妊娠はできないって」という私の言葉を聞き、主人も泣き出してしまったのでした。
男性不妊の専門病院を受診
前述の精液検査をした病院では、このあともう一度検査をすることになりました。というのも確かに2年前に私が自然妊娠していること、主人にはそのほかにも前妻との間に2児がいることなどを受け、医師から「今回の検査のみが著しくコンディションが悪かった可能性もあるからもう一度検査したい」と言われたからです。
しかし再検査の結果も変わることはありませんでした。
そして私は、早急に男性不妊で有名な泌尿器科の予約を取りました。私の通っていた病院でも診察は受けられたのですが、男性不妊により詳しい病院のほうが安心だと考えたからでした。
精索静脈瘤が発覚
泌尿器科を受診した結果、主人に精索静脈瘤が発見されました。
精索静脈瘤とは、精巣やその上の精索部(精管、血管、神経、リンパ管などを覆う3層構造の膜)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう・静脈の拡張)が認められる症状のことを指します。一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%がその疑いであるとされています。
引用:銀座リプロ外科
個人差はありますが、精索静脈瘤自体は自覚症状がないことも多く、炎症を起こさなければ不妊などの精巣機能以外、健康面で大きな影響がないケースも多々あります。そのため、手術で改善は可能ですが必ずしも手術を受けなければいけないというわけではありません。
ただし手術をすることで精液所見の改善が見られることが多いという説明を受け、私たちは手術をすることに決めました。
体外受精で実績のある不妊治療専門クリニックを受診
その傍らで、これまでに通っていた産婦人科ではなく、体外受精で実績があるクリニックを探し始めました。しかしこの時点では私はまだまだ不妊症のことも体外受精のこともわからないことが多く、何を基準にクリニック選びをするべきなのかにも迷い、以下の点に注目することにしました。
- 会社か自宅、どちらかの最寄り駅にあること
- 実績や金額がウェブサイトで公開されていること
- 記載されている金額が「相場」の範囲内であること
体外受精では、治療の過程で投薬のための通院が連日発生する場合もあります。仕事と育児を両立しながらの不妊治療では通いやすいことは必須条件だと考え、その他は不妊治療が自由診療であることから「信頼できるクリニック」を探すために重要だと考えました。
幸い会社から徒歩5分の場所に、不妊治療のことを調べたことがある人なら一度は名前を聞くような有名なクリニックがあり、そこに通院することに決めました。
実際の通院が始まってわかった「想定外」なこと
色々調べていたつもりでしたが、やはり実際に治療が始まってから初めてわかることはたくさんありました。
すぐに予約できるとは限らない
私が選んだクリニックでは、体外受精を受けるならばまずはクリニック主催の体外受精説明会を受ける必要があります。この説明会は月に1度しか開催されておらず、予約は3ヶ月先までうまっているような状況でした。偶然キャンセルによる空きが出たためすぐに参加できたのですが、以前は約1年待つこともあったようです。予約状況はクリニックによって異なりますが、人気のクリニックだと初診を受けるまでに時間がかかることは珍しくないようです。
子供連れの通院は不可
これはクリニックによって大きくことなることですが、私の場合は子連れ不可の可能性さえ知らなかったため、通院で大きなストレスになりました。不妊治療は排卵の状況が大きく影響しますが、排卵の状況は人によって違うだけでなく、その月によっても異なります。さらに、投薬で排卵をコントロールすることになれば、ベストな状態を作るまでに細かく診察が必要になります。ときには予定していなくとも「明日もう一度来て」と言われることも多々ありました。
一時託児所やベビーシッターを依頼する人もいるようですが、特に都心では前日の夕方ではもう依頼が間に合わないことのほうが多いということもわかりました。さらに、クリニックの待ち時間は早いときは30分程度ですが、長いと3~4時間かかることもあり、預け時間もはっきり伝えられない状況で度々預かってくれる友人や知人もなかなか見つけられませんでした。
中には託児所があるクリニックや、必ずしも子連れ不可というわけではない病院もあります。突発的な受診に対応できるのかということも踏まえて考慮する必要があるのは、二人目不妊ならではの悩みともいえます。
精索静脈瘤の手術をしても自然妊娠できるとは限らない
これには個人差もあり、医師によって見解が大きく異る部分です。あくまでも私が通った不妊専門クリニックでは、主人の年齢的な問題なども踏まえて考慮すると手術を受けても自然妊娠が可能なほど改善するとは考え難い、と言われました。これは、「泌尿器科的に見た健康上問題ないとされる数値」と「問題なく自然妊娠可能な数値」には差があるからだという説明を受けました。すでに主人の手術を決めているタイミングだったのでこれには驚きましたが、手術を受ける意味がないということではありません。
妊娠のためには、単純な精子の個数だけではなく、精子の形態や運動状態も影響します。つまり手術によって精子の質が改善されることは、体外受精にとって大きなプラス要素になります。
詳細な金額がわかりにくい
体外受精というのは、決して安いものではなく、治療費のせいで治療を諦めざるを得ない人もいます。現段階(2021年2月現在)では保険適用外の自由診療にあたので、クリニックによって金額が大きく異なります。ウェブサイトや電話の問い合わせでは金額の説明がないケースも多いからこそ、私は費用を明確にしているクリニックのほうが信頼できると考えていました。
もちろんある程度の金額を把握しておくことは重要なのですが、治療開始の段階では、費用の一覧を見てもあまり予測が立てにくいものなんだということは、あとからわかりました。ひとつひとつの費用は明確であっても、以下のような点で費用が大きく異り、あくまでも通院してみないと把握しきれないからです。
- どの薬剤を使用するのか
- それに伴ってどの程度の頻度で診察があるのか
- 採卵でいくつの卵子が撮れるのか
- 移植のオプションは何を選択するのか
上記はほんの一例でしかありません。すでに体外受精を経験している人が転院する場合や、同じクリニックでの何度目かの挑戦であれば、大体の金額は想定できるようになってきます。あくまでも私の場合は、それでも当初調べたときよりはずっと高額な印象を受けました。
二人目だからと安心せず、まずは検査を
二人目不妊の場合、当人たちも周囲も不妊を疑わないことが多く、受診まで時間がかかってしまうことが多いようです。しかし妊娠、出産できる年齢には限度があり、年齢が進むほど条件が不利になっていくことは否めません。思うように妊活が進まないのであれば、「何もなければそれはそれで安心」と考え、一度ご夫婦での検査を受けてみても良いのではないでしょうか。
とはいえ、一人目を自然妊娠している人にとって、二人目不妊というのはまさに想定外のできごと。何を調べたら良いのかさえわからないのに、医師の見解にも差が見られます。
体の状態やライフスタイルは人によって違うので、私のお伝えしたことはあくまでも参考と考えて。どんな条件を優先して治療を進めていくのかというのはご夫婦でじっくりと話し合い、どんな治療をしていくかというのは主治医としっかり相談してください。
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